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Channel: 慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・膀胱頚部硬化症

慢性膀胱炎と慢性前立腺炎の見方

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Lutsimg
この記事は、泌尿器科の専門医に読んで頂きたいですね。

慢性前立腺炎の症状は、下部尿路症LUTS (Lower Urinary Tract Syndrome)の一部です。他には、前立腺肥大症、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症などです。

これら下部尿路症の症状の中心にあるのが、膀胱の症状です。頻尿、残尿感、痛み、下部尿路周辺の痛み・痒み・シビレ・不快感です。この症状の組合せによって、病気が決まると考えます。例えば、
①前立腺肥大症は、尿の出が悪くて、頻尿や夜間頻尿があって、前立腺が大きい場合です。
②慢性前立腺炎は頻尿・痛みがあって、前立腺が小さく年齢も比較的若い場合です。
③慢性膀胱炎は頻尿・残尿感があって、年に何回も症状が起きて、尿検査で白血球や常在菌が発見される場合です。
④過活動膀胱は頻尿・尿意切迫感があって、検査に異常がない場合です。
⑤間質性膀胱炎は頻尿・痛みがあって、膀胱粘膜に異常所見が認められた膀胱です。
⑥膀胱疼痛症は痛みが主で、ハッキリした原因かない膀胱です。

どうですか?このように並べて比較すると、症状は、ほぼほぼ同じで、チョッとした検査結果の違いにしか見えませんね?症状の作成の元は膀胱ですが、原因の違いによって症状の違いが出るのではなく、膀胱を神経支配している仙骨神経の仙髄2番〜仙髄4番レベル(人によっては腰髄4番〜仙髄5番)の神経回路が作る違いです。
Blackbox
症状の多様性は、膀胱と排尿障害の程度と脊髄神経回路との組合わせの結果です。それが、病気の多様性を作るのです。排尿障害が強くて前立腺が大きいと前立腺肥大症、前立腺が大きくないと神経因性膀胱、前立腺のないご婦人も神経因性膀胱と診断されます。排尿障害はそれ程でもなく前立腺が小さいと慢性前立腺炎、前立腺のないご婦人の場合は過活動膀胱、頻尿と痛みで間質性膀胱炎、痛みだけだと膀胱疼痛症と診断されます。

慢性前立腺炎の患者さんは、医師が「炎症」と言う固定観念に縛られて、ひたすら炎症を抑えるクスリ、抗生剤・抗菌剤・セルニルトン・エビプロスタットを処方するのです。しかし、慢性前立腺炎の本質は排尿障害と膀胱の過敏さですから、炎症の治療で治る訳がありません。積極的に排尿障害の治療と膀胱刺激症状の治療をすればいいのです。

排尿障害による慢性膀胱刺激の患者さんは、定期的に頻尿や残尿感などの膀胱の症状が出現し、さらに尿検査で白血球やバイ菌が確認されるので、膀胱「炎」と誤診断されます。


医療サイトの投稿原稿 「神経因性膀胱が治らないと言う誤解」

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 膀胱の収縮力低下の結果、オシッコが出なくなる病気を「神経因性膀胱」と呼びます。
一般的に泌尿器科の医師は、男性で前立腺が大きくなく残尿量が多ければ、神経因性膀胱と診断します。また、女性の場合でも残尿量が多ければ、やはり神経因性膀胱と診断します。その理由は、排尿障害の明確な原因がなく、単純に膀胱の収縮力が低下しているからだとされます。そして、脊髄神経や脳の精密検査を行い、脳梗塞の後遺症だ、椎間板ヘルニアの影響だ、二分脊椎だ、馬尾神経障害だ、過去の骨盤内手術の後遺症だなどを理由に、「治りません」と結論づけるのです。
治療手段は、「生涯に渡って膀胱カテーテル留置か、毎日何回もの自己導尿しかありませんね。」と告げるのです。ここには、病気を治そうと努力する医師の姿が一かけらも見えません。
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このイラストは、排尿の際の膀胱周囲の物理的力を表現しています。
① 自分の意志で尿道括約筋が開く
② 呼応して自動的に自律神経で膀胱括約筋が開く
③ 蓄尿の重量(重力)
④ 膀胱が収縮する
⑤ 臓器の総重量(重力)がかかる。
⑥ 腹筋・腹圧がかかる
以上の6つの要素で排尿します。
この中で、物理的力が一番強いのが腹筋・腹圧です。2番目が各臓器の総重量、3番目が膀胱収縮力です。その3番目の強さの膀胱収縮力が無くなったからと言って、オシッコが出なくなるでしょうか?どう考えても、他に原因があるとしか思えてなりません。
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ここで、簡単にできる実験をお示しします。
点滴のビニール・バック溶液に着色し、点滴を全開にします。5分後、中身は空っぽになります。当たり前の光景です。点滴バックに外から圧力は掛かっていません。点滴を全開にしたので、溶液の重量(重力)で空っぽになっただけです。これから考えれば、膀胱の収縮力が欠如しても、膀胱出口が十分に開いていれば、オシッコは完全に出るはずです。まして腹筋・腹圧、臓器の重さ、畜尿の重さの三つの力が働くのですから、オシッコが出ない訳がありません。結局、オシッコが出ない神経因性膀胱の原因は、膀胱出口が十分に開かないためです。尿道括約筋は、骨格筋・横紋筋で自分の意志で開きます。しかし、膀胱括約筋は内臓筋・平滑筋の自律神経支配で自分の意志では開くことが出来ません。あくまでも尿道括約筋と連動してオートマティックに膀胱括約筋が開くのです。神経因性膀胱の患者さんは、このオートマティックが故障していると考えられます。その原因として、膀胱出口が硬くなってしまった膀胱頚部硬化症や前立腺肥大症が考えられます。
膀胱出口を開くための自律神経支配のオートマティックを直すことは出来ませんが、膀胱出口を緩めたり開くことは可能です。
① 保存的にはαブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフなど)を利用して膀胱出口の緊張を緩める。
② 前立腺肥大症の硬さを柔らかくするために抗男性ホルモン剤(アボルブ・プロスタール)を投与する。
③ 保存的治療で改善が得られなければ、外科的治療・経尿道的内視鏡手術を行い、膀胱出口を円錐状・漏斗状に開放する。膀胱括約筋と尿道括約筋は、男性で3㎝~4㎝、女性で2㎝の距離があるので、術後の尿失禁の心配はない。
神経因性膀胱を専門とする医師は、膀胱内圧測定や筋電図などを駆使して、神経因性膀胱を次のように分類します。
1弛緩性膀胱、2無抑制膀胱、3過活動性膀胱、4排尿筋括約筋協調不全
これらの分類は、ダメになり疲弊した膀胱の現状を分類しているだけで、患者さんの悩みや苦しみに対して何の解決にもなりません。
貯水タンクから水の流出がなければ、タンクの排水口が何かで詰まったと考え、排水口を点検・清掃して修理するでしょう。貯水タンクに収縮力がないから流出しないとは思いませんね。それと同じで、自己導尿して尿の排出できるのに膀胱収縮力がないからと診断するのは見当違いです。

【医療関係読者からの感想】

また、以下には高橋先生の記事の感想をいただきましたので、一部を記載させていただきます。
記事は全体の89.8%の方が満足していると回答しており、


・眼前の患者に診断をつけたら終わりではなく、病態生理を突き詰めてどうしたらその症状を改善できるかという、医療の根本姿勢を考えさせられるお話でした。
・明日からの外来で、患者への説明と頻尿への治療に役立てたいと思います。ありがとうございました。
・以前からブログを拝見し勉強させていただいてます。
・ぜひ継続してください もっと勉強したいです
・他科の医師としてとても勉強になりました。
・専門外ですが患者さんから相談されることがありますので、大変参考になりました。
・神経因性膀胱の診断でも膀胱出口が硬くなってしまった膀胱頚部硬化症や前立腺肥大症があることに今まで気づいておらず中々薬の効果が出ない人がいると思っておりました。とても参考になりました。

などのお声をいただいております。
今後の執筆のモチベーションにしていただけますと幸いです。

医療サイトの投稿原稿#12 「痛みで悩むご婦人^_^」

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アメリカ在住の30代のご婦人が、2017年の9月から、夜間に突然、陰部がとても痛くて目が覚めました。陰部全体の痛みと尿道が引っ張られるような痛みです。これ以降、毎晩起こる痛みのため不眠症になってしまいました。
地元アメリカで、泌尿器科・婦人科などいろいろな医師を受診し、治療を受けましたが治りません。何回も通院すると、医師に見放されたような態度を取られてしまいました。患者さんは、そのような状況になってもくじけないで、インターネットで情報をいろいろ収集しました。その中で、私の書いているブログ記事をたまたま発見したのです。
地元のアメリカでは、私の推薦するクスリを調達できなかったので、日本にいる家族に連絡して、α-ブロッカーのエブランチルを送ってもらい服用してみました。すると、今まで自覚していなかったオシッコの出が良くなったのです。痛みには、それほど効き目がありませんでしたが、私の理論が正しいことを実感したのでした。

その後、日本に帰郷して、関東近県の地元の内科の先生に、無理にお願いして、お祖父さんにフリバスを処方して頂き、それを服用を始めました。すると、どうでしょう!あれほど苦しんでいた痛みが無くなり、夜グッスリと眠れるようになったのです。地元の内科の先生も、その話しを聞いて驚いたそうです。
日本滞在中に私の診療所へ受診しようと、2018年6月末に来院されました。
早速、エコー検査をすると、写真のように膀胱縦走筋(膀胱排尿筋)の走行が、膀胱出口に向いていません。当然、膀胱三角部が厚くなっています。厚さが約7mmです。正常は2mmです。厚さ2mmで排尿回数5回が正常だとすると、7mmだと、オシッコの回数は15回〜18回のはずです(私の自論展開)。しかし、この患者さんの排尿回数は、1日たったの4回でした。
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膀胱三角部で作られた頻尿のエネルギーがまったく表現されていません。これは、患者さんの脊髄神経回路の特性によるものです。しかし、脊髄に送られた情報(エネルギー)をそのまま貯めておくことはできません。そこで、脊髄が新たな神経回路を形成したのです。それが「痛み」症状なのです。
フリバスは、前立腺肥大症の治療薬でお馴染み、排尿障害治療薬のα1-ブロッカーです。もちろん保険適応外ですが、膀胱出口の緊張をゆるめ、男女関係なく排尿障害の治療に役立ちます。また、α-レセプターは、膀胱出口ばかりでなく膀胱三角部にもありますから、膀胱三角部の興奮もフリバスで抑えられたのでしょう。また、排尿障害のため振動して硬くなった膀胱出口も、膀胱三角部と同じくセンサーが形成されるので、膀胱出口の情報も脊髄を介して痛み症状になったのです。
このような症例に遭遇した場合、一般的には①頻尿症状がなければ、陰部疼痛症・うっ血性骨盤疼痛症候群、②頻尿症状があれば、過活動膀胱・間質性膀胱炎・膀胱疼痛症候群、③子宮筋腫があれば、子宮筋腫の関連痛、④他に症状がなければ、陰部神経症と診断されるのが「落ち」でしょう。病気の症状発現のためには、「ブラック・ボックス」である脊髄神経回路が介入していることを医師は肝に銘じるべきです。
また、この患者さんはフリバスで痛みが消失しましたが、不十分な場合、炎症による痛みではありませんから、通常の痛み止め(ロキソニンなど)は無効です。脊髄中枢の「痛み回路」抑制効果のある、リリカ・トラムセットが有効です。

フリバスは地元の内科の先生に継続して処方いただき、さらに膀胱三角部を的確に抑えるベタニスを追加で処方しました。

べオーバの発売日決定

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F5cf23671e8c4a48a6fedffa618fe25bお待たせいたしました。第2のβ3作動薬であるベオーバの発売日が決定しました。
今月の11月27日火曜日です。当日の10時以降には処方できると思います。
ただし、一回の処方で2週間分です。

膀胱・直腸の違いで分かる病気の本質

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膀胱と直腸は、元々は同じ臓器だったのです。
以前にも、膀胱の発生学的構造について解説しました。そこでおさらいです。

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まずは、胎児の4週の時点で、膀胱の基礎が出来上がります。それが、「総排泄腔」です。その形はとてもシンプルです。総排泄腔の前に「へその緒」が繋がっています。総排泄腔の前後の真ん中辺りにクビレが生じます。これを「尿直腸中隔」と呼びます。イラストでは「中隔」と示しています。
胎児の6週に成ると中隔というクビレがドンドン深くなっていきます。深くなるに連れ、総排泄腔の前は膀胱に、背後は直腸になろうと変形します。つまり、膀胱と直腸は、発生の途中では同じ臓器だったのです。ですから、出産後に成長して成人になれば、別の臓器と思われますが、神経的には脊髄神経で繋がっている方もおられます。その証拠に、膀胱炎になると便意を催すヒトもいれば、下痢すると頻尿になるヒトも存在します。
胎児の7週に成ると、尿直腸中隔は完成して膀胱と直腸は完全に分離独立します。膀胱の末端は、体壁皮膚の外側まで通過して「尿道」になります。胎児の11週には男性の場合は、この尿道から芽が出て、それが「前立腺」になります。背後の直腸は、大腸(S字結腸)の末端と接続して、大腸は直腸まで連続します。

ここまで見ると、膀胱も直腸も、ほぼほぼ同じ臓器です。何が違うかと言うと、膀胱は腎臓・尿管と繋がり尿を溜め排泄し、直腸は消化器官末端の大腸と繋がって大便の通り道です。尿管の粘膜細胞である移行上皮が膀胱の粘膜として広がり、大腸の粘膜細胞の円柱上皮が広がり直腸の粘膜になるのです。最初は同じ臓器なのに、粘膜細胞は異なるのです。
さて、ここで疑問が生じます。オシッコが出なくなる「神経因性膀胱」の原因は、膀胱の力が無くなったから尿が出なくなると言われています。しかし、直腸の力が無くなったから大便が出なくなる病気は存在しません。もともと直腸には、そのような力がある構造でもなく、大便の塊を腹圧をかけて押し出す際に、便意を感じてチョコっと力を補助するだけです。直腸の筋肉はただ単に蠕動(ぜんどう)運動するだけです。膀胱もほぼ同じで、尿を溜める時に膨らみ、尿を出す時に一滴も残らず閉じるだけの力があればよく、肝心の排出力は腹圧をかけて尿が出るだけです。ではどうして、「神経因性膀胱」という病気で尿が出なくなるのでしょうか。それは、生まれは同じ双子の臓器ですが、膀胱出口の構造が直腸の出口よりもシンプルではないからです。

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ここで、先ず直腸の出口=肛門の仕組みを見てみましょう。内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が隣り合わせで接しています。排便の際には、外〇〇括約筋が開きますが、内〇〇括約筋は軽く収縮します。なぜなら、直腸の縦走筋と協力して、直腸を漏斗状に姿を変えて大便が出やすくするのです。ここで容易に分かることは、内〇〇括約筋が頑張っても骨格筋である外〇〇括約筋には負けてしまうので肛門は容易に開くのです。

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直腸と比較すると、膀胱の出口は少し複雑です。
内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が上下に位置しているのです。
排泄物が液体の膀胱の場合は、直腸と同じに隣接していると、尿が漏れ出てしまうからです。しかし、排尿時は、直腸と同じ動きをします。外〇〇括約筋が開こうとすると、内〇〇括約筋が収縮して同時に膀胱縦走筋が収縮します。その相互作用で膀胱の頸部は漏斗状に姿を変えて排尿しやすくなります。
ところが、直腸と違い、内と外〇〇括約筋が上下に位置していて、外〇〇括約筋の力が内〇〇括約筋に十分な伝わりません。そのため、微妙なバランスで内〇〇括約筋が開くことになります。もしも、このバランスが乱れれば、内〇〇括約筋は十分に開かず、排尿障害になるのです。

つまり、直腸は内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が並行に位置し、膀胱は内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が縦に位置しているのです。力の強さは、骨格筋・随意筋である外〇〇括約筋の方が、内臓筋・不随意筋である内〇〇括約筋よりもはるかに強いのです。ですから、並行に並んでいる直腸の場合は、内〇〇括約筋は外〇〇括約筋の言いなりです。そのため、外〇〇括約筋が開くと内〇〇括約筋が容易に開いてしまうのです。しかし、ある程度の距離を置いて縦に並んだ膀胱の場合は、内〇〇括約筋が自己主張するので、外〇〇括約筋の言いなりにならないのです。その程度は、歳を重ねるごとに強くなり、また男性の場合は前立腺が大きくなるほどに強くなるのです。

便秘などの大便の出が悪いのは、大便の固さに問題があるのです。しかし尿は液体ですから、出の悪さは膀胱出口の開閉だけに依存しています。内尿道括約筋(膀胱括約筋)と外尿道括約筋の連携プレイが問題になるのです。神経因性膀胱は膀胱全体の筋肉の力がないからと言うのは「嘘」です。『治らないんだ😞』と詐欺被害者になってしまいます。騙されてガッカリしないでください。ですから、神経因性膀胱などの治療には、内尿道括約筋を緩める薬や手術で内尿道括約筋をカットしてあげればいいのです。

休診のお知らせ

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【休診日】

4月・5月のゴールデンウィークは、

4月30日(火)、5月1日(水)、5月2日(木)は午前中のみ診療します。

 

【診療時間】

 

月曜日〜土曜日: 午前中9時~12時診療を行います。
ただし、火曜日・木曜日のみ、午後4時〜午後6時も診療を行います。

原因不明の痛み症候群の原因

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泌尿器科の病気で、原因不明のために、患者さんが苦しむ病気がいくつもあります。痛み症候群(私の造語)として解説致します。

[E:#x2776]膀胱疼痛症

[E:#x2777]前立腺痛症

[E:#x2778]うっ血性慢性骨盤疼痛症候群

[E:#x2779]陰部疼痛症

[E:#x277A]間質性膀胱炎

[E:#x277B]慢性前立腺炎

今、パッと思いつく病気は上記の通りです。どの病気も、原因が明確に確定されず原因治療ができないので、どんな痛み止め(鎮痛剤)を処方しても、当然のように治りません。

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開業医ななって30年間に、痛みで苦しんでいた上記の患者さんをたくさん拝見しました。私のブログでもいくつも症例をご紹介しました。その患者さんの多くに排尿機能障害が認められました。しかし、多くの患者さん自身が排尿機能障害を自覚してはいないのです。私の造語、いわゆる「隠れ排尿障害」です。

具体的な症例として下記のブログをご覧ください。

①痛みでアメリカから来院したご婦人 http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2018/06/post-9fc5.html

②痛みで徳島から来院した男性 http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2019/04/post-6fa87c.html 

③痛みで苦しむ娘さんをお連れになったお父さん http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2018/08/post-3fd3.html 

④1日3回の激痛が大学病院で治らず来院したご婦人(学会報告の症例1) http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2008/04/2008_4cfc.html

医師は患者さんが訴えなければ、排尿機能障害を調べようとも治療しようとも考えないのです。患者さんの訴える自覚症状だけに注目・固執して治療するので、患者さんは当然治りません。

患者さんが自覚しない程度の排尿機能障害は、検査・治療の「必要なし・問題なし」と医師が勝手に判断してしまうのです。しかし、排尿機能障害の負担を評価するのは、患者さんの意思ではなく、患者さんの「体自身」なのです。患者さんが自覚しない病変を医師が「問題なし」と判断すること自体が「問題」なのです。

例えば失恋しても、次々に恋愛を繰り返す人もいれば、たった一回の失恋で自殺する人もいます。病気の状況を診断基準だけで単純にに判断してはいけないのです。病気の状況を判断するのは、体なのです。医師の常識が誤診や原因不明を生むのです。患者さんが自覚していない=病気の原因ではない、と思い込んでいる医師の誤解が、痛み病気症候群を治せないでいるのです。病気の程度が問題ではなく、それに反応する脊髄神経回路=ソフトウェアの個性の問題なのです。

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目の前の患者さんは単純な生命体=単細胞生物=例えばミドリムシではありません。超複雑な精密ロボットだと思って診察しなければならないのです。目の前の表面的な症状だけに惑わされずに、裏の隠れた症状も推理しなければなりません。

 

 

 

膀胱三角部から見た二足歩行と四足歩行

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Bladderposition_1 膀胱のセンサー部分である膀胱三角部は、イラストのように膀胱出口の真裏(お尻側)にあります。膀胱は内臓の中で一番下に位置していますから、イスに座る時や立って歩行している際には、内臓全ての重さを受けることになります。そして、圧力のかかっている膀胱の一番圧力がかかるのはイラストで分かるように膀胱三角部です。

ところが、横になって寝ると膀胱にかかる内臓の重さは、ほぼ無くなります。その一例が急性膀胱炎の患者さんは、昼間起きている際には頻尿や残尿感、尿意切迫感で苦しみますが、夜に寝ると頻尿が出なくるのは、過敏になつている膀胱三角部に内臓の重さがなくなるからです。

Bladderposition2さて、四つ足動物(四足歩行)は、イラストで示すように膀胱がその他の内臓と同じ平面上に位置しますから、膀胱には内臓の圧力がかかりません。ですから、四つ足動物で頻尿になることはほとんどないと言えます。ですから、頻尿や残尿感で苦しまれている方は、周囲の視線を無視して四つん這いになれば、多少の症状は軽減できます。

Bladderposition3夜間頻尿で苦しんでいる患者さんは、横になってていても頻尿症状が消えないのです。その理由は膀胱の内圧力に関係なく、膀胱三角部が興奮しているからです。何故かといえば、隠れた排尿機能障害で膀胱三角部が厚くなり平滑筋が常に興奮している場合と、前立腺肥大症の中葉肥大で膀胱三角部が下から圧迫されている場合に分けられます。

写真は中葉肥大型の前立腺の超音波エコー所見です。赤い線で記した膀胱三角部が前立腺に下から強く圧迫されています。当然、オシッコがたまっていなくても、頻尿や残尿感が出ます。

 

 

 


過活動膀胱の本質

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1281924cabbc424887604ef6e614a355原因不明の「過活動膀胱」という病気があります。頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁が主な症状です。特にご婦人に多くて、男性の場合は、前立腺肥大症が原因とされていますが、前立腺肥大症の治療を行なってもなかなか治らない場合には、やはり原因不明の過活動膀胱と診断されてしまうのです。ご婦人の8割の患者さんに腹圧性尿失禁があると言われています。

これらを客観的に考察すると見えてくるものがあります。まずは、男性の場合は、前立腺肥大症の患者さんには発症する前から排尿機能障害が隠れているのです。その排尿機能障害が原因で、膀胱出口の真裏に存在する前立腺に負担をかけるので、その対抗処置として、前立腺が次第に大きくなり前立腺肥大症になるのです。

次に、女性の場合の過活動膀胱の患者さんの8割に腹圧性尿失禁があるとされています。では、なぜ腹圧性尿失禁が発症するのだと思いますか?実は、何十年にもわたって排尿機能障害が隠れていたので、オシツコの度に強い腹圧かけるのです。すると、骨盤底筋が次第に下垂してしまい尿道括約筋がゆるんでしまい、遂には咳やクシャミどなどのチョッと腹圧をかけるとオシツコが漏れてしまう「腹圧性尿失禁」になってしまうのです。

男性の過活動膀胱にもご婦人の過活動膀胱にも排尿機能障害が隠れているのです。その排尿機能障害が、膀胱にも負担をかけたため、膀胱が過敏になるのです。その負担のかかった膀胱の場所が、膀胱出口と連続している膀胱三角部です。

過活動膀胱のガイドラインや解説のアルゴリズムをご覧になれば分かるように、排尿機能障害ついては、全く無視しています。患者さん本人が、排尿困難を自覚していなければ、排尿機能障害はないと単純に考えるのです。人間の体は単純ではありません。排尿機能障害が存在しても、それらしい症状が出ない人もいるのです。だから、体は違う表現で訴えようとするのです。それが、過活動膀胱の症状なのです。例えば、刑事ドラマで一見良心的な人物が、実は殺人鬼だったという場合と同じです。一見問題ないと思われるところに、原因が隠れていると思わなければならないのです。

Ilastennzetu2一般の泌尿器科医師は、膀胱の知覚過敏は膀胱全体で感じているからと思い込んでいるので、その原因が分からず、膀胱の粘膜全体の変性あるいは生物活性物質が放出されたことによると、いい加減で適当に解釈しているのです。

C5f84ea5ac444d9692432b0c49bfbd68そのようなことが、前立腺肥大症や腹圧性尿失禁に結びつく訳もありません。にも関わらず、整合性のないことは「原因不明」として泌尿器科学会は済ませているのです。有名大学の有名医師は、受験を勝ち進んで来たパソコン的頭脳の持ち主、つまり計算能力と記憶力が高いだけです。病気に対して必要な想像力や発想能力が乏しいので、素人でも考えられる事象のデータを集めて学会報告しているだけです。科学者とはとても思えません。

 

毎月の膀胱炎に苦しむ高齢のご婦人

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今日、新潟から80歳のご婦人がお嬢さんに連れられて来院されました。3年前から何度も何度も膀胱炎を繰り返したのです。ほぼ毎月1回の頻度です。その都度、抗生剤・抗菌剤を処方されて多少は軽快しましたが、またすぐに膀胱炎になるのです。

現在の症状は、毎日25回の頻尿と、オシツコに関係なく常に感じる尿道の痛みです。泌尿器科の専門医に2件受診しましたが、初めは「膀胱炎」という診断でしたが、次に「歳のせい」、「気のせい」という診断でした。

Oab37301f80pp苦しんでいるお母さんを見て辛くなったお嬢さんがインターネットで当院を見つけて来院されたのです。お話しをお聞きして、早速超音波エコー検査をおこないました。予想通りでした。膀胱排尿筋が本来膀胱出口に向いている筈が、見当違いの方向(黒い→)に向いています。尿道口に向いていると思われます。
これは相当以前から排尿機能障害が存在していて、排尿の都度、膀胱排尿筋が尿道括約筋に引張られるので、次第に方向が変異したのです。

そのために相対的に膀胱三角部が厚く肥厚(赤い↔)します。膀胱三角部の厚さは、通常では膀胱排尿筋の先端から約2mmです。この患者さんの場合は、厚さが10mmを越えています。通常よりも5倍以上も厚いのです。例えば、膀胱三角部の厚さ2mmで排尿回数5回だとすれば、単純計算で10mmあれば、5×5=25回になっても不思議ではありません。

排尿機能障害にもかかわらず、以前の主治医が、「膀胱炎だから、水分をたくさん飲みなさい!」と言うので、症状はさらに悪くなるのです。


病気の原因をお話ししたら、患者さんご本人とお嬢さん二人が涙していました。それまでさんざん主治医に相談したにもかかわらず、「歳のせいだ!気のせいだ!治る訳がない!」と怒るように言われていたのだそうです。原因が分かり治療法も分かったので、喜びのあまり泣いてしまったのでした。

治療としては、排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーと、膀胱三角部の興奮を鎮めるβ3作動薬を基本に処方しました。さらに強い痛みが生じた時のために、一般的な鎮痛剤ではなく、脊髄神経回路をブロックするトラムセットを処方しました。効果があることを期待します。

排尿機能障害の証拠

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排尿機能障害が原因で、見せかけ上の様々な病気が発症します。前立腺肥大症、慢性前立腺炎、慢性尿道炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群などです。

これらの病気の検査で排尿機能障害を確認するための、尿流曲線検査ウロフロメトリー、膀胱内圧測定検査を行っても、極端な後遺症が出なければ、異常と認められません。明確に確認される場合は、その時点で「神経因性膀胱」と診断されだけです。それまでは、初めのたくさんの病気として苦しまれるだけなのです。そして、神経因性膀胱と診断されても、治療方法がないのです。

そのような経過にならないように、事前に知るべきなのです。その検査が、エコー検査なのです。そこで、エコー検査の主な特徴的な所見を解説しましょう。

Ef77601868eb4e1c82f3ee62ccc752b3❶膀胱出口がVの字:健常であれば、膀胱出口は少し凹んでいるか、ほぼ平の筈です。ところか、排尿機能障害が長期間継続すると、出口の周囲が膀胱サイドに飛び出てくるのです。

Oab36619f56pp❷膀胱排尿筋の走行異常:膀胱括約筋に柔軟性が無くなり、排尿する際に膀胱出口が開かないまま、尿道括約筋の方向にオシツコの度に引っ張られます。すると、膀胱排尿筋が出口と一緒に尿道サイドに引っ張られるので、膀胱排尿筋の方向が偏位するのです。この偏位が、膀胱三角部に影響を与えるのです。

6e0bc90c56b14b66a8f85be81f86547b❸膀胱排尿筋の形態変形:引っ張られる力のエネルギーベクトルの幅が広いと、膀胱排尿筋が変形してしまいます。ヘビの口だったり、お団子状になるのです。この写真では、まるでヘビが大きな口を開けているように見えます。患者さんの苦しんでいる姿を見ると、ヘビに憑かれているように思えて仕方がありません。

❹膀胱三角部の肥厚:膀胱排尿筋が引っ張られると、膀胱粘膜と膀胱排尿筋の間に隙間が空きます。生体ですからスペースをそのままにはしません。そこに周囲の細胞が増殖して埋め合わせをするのです。それが膀胱三角部の肥厚です。

Calprostpp❺前立腺結石:膀胱出口が十分に開かないで排尿すると、尿道内に流れる尿流は、ジェット流になります。ジェット流は尿道粘膜に傷害を与え、粘膜がボロボロになったために、そこに尿中のシュウ酸リン酸カルシウムが付着して石灰が出来ます。石灰が大きくなると尿道が塞がるので、それを避けるために石灰が少しずつ前立腺に吸収されます。それが積もりに積もって前立腺結石なるのです。

Calurethpp❻尿道周囲結石:前立腺結石と同じ理由で、ご婦人の尿道周囲にも石灰・結石が蓄積します。写真は、なかなか治らない慢性膀胱炎で来院した37歳のご婦人の超音波エコー所見です。尿道の知覚に明確な結石が認められます。

Varixpp

❼膀胱頸部の静脈瘤:一般的に瘀血(おけつ)と呼ばれる状態です。排尿時に膀胱出口が十分に開かないと、排尿の圧力(腹圧・膀胱圧力)がすべて膀胱出口=膀胱頚部に物理的負荷がかかります。当然、膀胱頚部周囲の血流が悪くなり、うっ血状態になります。その結果、静脈が拡張して、静脈瘤になるのです。写真の赤い矢印がすべて静脈瘤です。瘀血に対して血流を良くするために、漢方薬である桂枝茯苓丸を処方されますが、原因を解決しないで、血流だけを良くして何の効果があるだ?と思います。

Bnspp❽膀胱出口の硬化像:排尿の際に、膀胱出口が十分に開かないでオシッコをすると、膀胱出口はブルブル震えて振動します。その状況が毎日何回も何年も起きれば、膀胱出口は振動に負けないように硬くなるのです。硬くなればなるほど膀胱出口の振動は強くなりますから、膀胱出口はますます硬くなるのです。その結果、エコー検査の所見では、出口部分が白く見えるのです。

61c385b29a234f628b9234a0f1e47f27❾前立腺肥大症:前立腺の健常な大きさは、20CCです。これを少しでも超えたら前立腺肥大症と診断されます。この写真は、大きさが60CCを超えています。さらに膀胱出口がVの字で膀胱三角部が膀胱側に飛び出ており、膀胱排尿筋が膀胱出口から距離があり、だるま状に収縮しています。

以上のどれか一つでも所見があれば、排尿機能障害が隠れていると判断して治療するべきです。

 

 

条件反射

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病気には、条件反射で症状が出るものがあります。

条件反射とは、見たり聞いたり感じたりすると、脊髄神経回路を介して特定の反応することです。

Reflexhiza条件反射の例としては、❶梅干しを見ただけで、酸っぱい唾液が出るアレです。❷寒かったり恐ろしかった時に起こる鳥肌、❸目にゴミが入った瞬間に涙目になる、❹失恋した彼女と姿が似た人を見ると、失恋した当時の気持ちを思い出してしまう、❺犬にエサをあげる時に鈴を鳴らすと、鈴の音がすると犬にヨダレ出る、❻曲げたヒザを叩くと、ヒザがのびる(膝蓋腱反射)。

ご覧のように、「条件」は単純な物や事ばかりですが、出てくる「反射」反応は脊髄神経回路(ソフトウエアー)を介するので、千差万別です。

Reflex病気の条件反射も同様のことが言えます。私の専門分野での排尿障害が原因の病気では、この条件反射が多々あるのです。

❶水を飲む(条件)と、急に尿意や尿意切迫感が出る(反射)。❷トイレに入ろうとする(条件)と、尿意切迫感が強く出て、漏らしてしまう(反射)。❸歯を磨いたり(条件)、水の音や水に触れる(条件)と尿意切迫感(反射)が出て、人によっては切迫性尿失禁(反射)になる。

このような現象を患者さんが主治医に訴えても、「気にし過ぎです」と言われることが多いのです。長い期間に排尿障害を経験していると、このような条件反射が起きることを主治医は習っていないから知らないのです。生物学の基本的概念を知っていれば、素人でも想像できることです。医師と言えども、自らの想像力を活かさないで、過去の教わった事しか考えないのです。……本当に情け無い⤵︎。

これらの反射症状は、排尿障害を連想しやすい症状です。しかしながら、脊髄神経回路の特性によっては個性的な反射症状の出る人がいます。例えば、水をたくさん飲むことによって、睾丸の痛み、陰部のかゆみ、錯覚の尿臭、舌の痛み、胃の痛み、坐骨神経痛、腰痛などです。また、これらの条件反射は瞬間的に出現するのではなく、ある程度の時間差で出現するので、条件反射と思えないのです。

生き物の行動は、ある意味で全て条件反射が基本です。河の流れがあれば、鮭は上流に泳ぎ、草原でメスの鹿が目に入れば、オスが交尾に走り、深夜に光があれば虫が集まるのです。この条件反射を何度も繰り返し複雑に経験することで、脊髄神経回路が発達して、結果的に知性のある人間になったのでしょう。

泌尿器科の病気に限らず。あらゆる分野で様々な条件反射がある筈です。そしてそれが原因不明の病気として処理されている可能性もあるのです。

尿失禁の原因

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Stressinc中年以降になると、ご婦人で咳やクシャミなどでオシッコを漏らしてしまう方がいます。医学用語で『腹圧性尿失禁』と呼びます。その原因は明確ではなく、ほとんどが「歳のせい」と思われています。

このような患者さんをエコー検査で調べてみると、過活動膀胱や間質性膀胱炎の患者さんと同じ所見が得られます。つまり、膀胱排尿筋が膀胱出口には向いていなく、外側の尿道口の方向に向いていて、さらに膀胱三角部が厚くなっています。結果、排尿機能障害が隠れていることが分かります。

Stressinc2膀胱の出口は、二重構造になっています。手前が膀胱括約筋で外側が尿道括約筋です。自分の意志(随意神経=運動神経)尿道括約筋が開くと、自動的(不随神経=自律神経)に膀胱括約筋が開くのです。

Stressinc3しかし、何かの原因で膀胱括約筋が自動的に開かないと、尿道括約筋が開いても十分に排尿が出来なくなります。この状態が何年も何十年も繰り返し繰り返し行われることになります。

当然、必要以上の腹圧が毎回かかります。すると膀胱の下端のラインが少しずつ下位に下がります。また、尿道括約筋も次第に下位に下がります。

Stressinc4そして、下位の位置で次第に膀胱や尿道括約筋が固まり固定されてしまうのです。その状態は、ちょうど排尿の際の膀胱の位置と尿道括約筋の形に似てくるのです。そのため、咳やクシャミで腹圧が少し高まるだけで、尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁になるのです。

腹圧性尿失禁の手術は、テフロン糸やテフロンパッチなどで膀胱の下端を吊り上げる手術なのです。でも、執刀医は、何故下がったのかを考えずに手術しているだけです。当然として、元の位置に戻るので、オシツコのでは悪くなり、患者さんは苦しむのです。

もしも、手術後オシッコが出にくくて辛ければ、α1ブロッカーを服用してください。出来れば、前立腺肥大症の排尿障害の治療薬であるユリーフ・シロドシンがおススメです。しかしながら、男性向けのクスリですから保険適応外です。

保存的の治療手段としては、骨盤底筋の訓練をして、尿道括約筋の位置を上に挙げることと、α1ブロッカーを服用してください。

ですから、排尿機能障害が原因の「頻尿や尿意切迫感」のある人は、早めに治療しないと、必ず腹圧性尿失禁になるのです。

難治性過活動膀胱の実態

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Oabsystem過活動膀胱と診断されて、抗コリン剤(ベシケア・トビエースなど)やβ3作動薬(ベタニス・ベオーバ)を処方されても治らない患者さんが、悩んだ末にインターネットで当院を探し当てて遠方から来院される方が多くいます。
過活動膀胱の治療薬を服用しても治らないので、主治医から「気のせいですよ!」「ストレスが原因です!」と診断される方が多いのです。治らないのは、それなりに理由がある筈で、気のせいやストレスが原因ではありません。第一、過活動膀胱そのものの原因も泌尿器科学会では定かではないのに、そんな診断をして結果が得られないから、すべてを患者さんのせいにすること自体が医師として情けないことです。

抗コリン材やβ3作動薬は、膀胱、特に膀胱三角部の興奮を鎮めるお薬です。しかし、その治療はあくまでも対症療法です。原因を治していないので治る訳がありません。まるで虫歯の治療を痛み止めだけで治療しているのと同じです。膀胱の訴える症状は、基本的に排尿に問題を抱えているからと連想し想像するべきです。排尿困難ほどの明確な症状がなくても、微妙な排尿障害でも、人によっては強い関連症状を作るのです。ある意味で、患者さんの個性です。医師から見れば、軽微な排尿障害であっても強い症状を作る人がいるのです。標準診断、標準治療にこだわっていると、患者さんを救うことはできません。

Oab36619f56pp過活動膀胱の治療は、膀胱三角部の興奮を鎮める抗コリン剤・β3作動薬はもちろんのこと、排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーの併用が必須です。ハルナール、ユリーフ、フリバス、エブランチルが代表です。

ここで症例をご紹介しましょう。患者さんは56歳のご婦人です。平成29年3月に頻尿と下腹部の痛みで「膀胱炎」と診断され、その後から頻尿(20回)と尿意切迫感などで地元の泌尿器科を何軒か受診しましたが、細菌感染は認められず、「過活動膀胱」の診断で抗コリン剤を処方されましたが治りません。そこで1年半経過した平成30年8月に当院を初診で訪れました。

超音波エコー検査では、写真のように膀胱排尿筋が膀胱出口に向いていません。(黒し→)これは排尿機能障害の後遺症です。相対的に膀胱三角部が厚く肥厚し(赤い↔)、膀胱三角部の形状も台座のように厚く広いスペースになっています。膀胱三角部は尿意センサーですから、頻尿症状・尿意切迫感=過活動膀胱症状が出現しても不思議ではありません。

そこで、排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーと頻尿治療薬であるβ3作動薬を処方しました。すると、20日後には頻尿が20回→6回に激減しました。1カ月後には排尿回数が3回、痛みはほぼ無くなりました。難治性過活動膀胱も原因の本質を把握すれば、容易に軽快するのです。

切迫性尿失禁の本質

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過活動膀胱の代表的な症状が「切迫性尿失禁」です。尿意を感じたと同時に尿意切迫感になり、急にオシッコが漏れてしまうのです。切迫性尿失禁のメカニズムについて解説します。

Bulubulu男女問わず、排尿機能障害が存在すると、膀胱出口周辺に物理的負担がかかります。膀胱出口が排尿時に十分に開かないでオシッコする訳ですから、腹圧が膀胱出口に必要以上にかかるのです。すると膀胱出口は細かく振動します。ちょうど、空気を吸って口から吹く時に口を閉じ気味にすると、唇(くちびる)がブルブル振える現象と同じです。結果、膀胱出口周辺の平滑筋(内臓筋)が振動します。この現象が長期間にわたって何度も繰り返し起きることで、平滑筋が次第に増殖して過敏になるのです。

膀胱出口周辺の平滑筋は、膀胱括約筋と膀胱三角部なのです。これら平滑筋は尿意のセンサーでもあります。膀胱に尿(オシッコ)が十分に溜まると、その圧力が膀胱出口周辺の平滑筋を刺激するので、尿意が生じてオシッコをするようになるのです。ところが、排尿機能障害によって、膀胱出口周辺の平滑筋が予想以上に敏感になると、わずかな尿の圧力で尿意を感じてしまうのです。

 

Ansinoabinc_20190827160701脊髄神経回路を介して、尿の圧力情報が脳中枢に伝達されます。脳中枢は、情報の回数を蓄積します。時間の経過とともに情報はかなりたまります。仮に例えば、3時間で20パルスの情報が脳中枢に伝達するとします。(イメージで言うと、トン・トン・トン・・・と3時間です。)一定のライン(閾値)を超え、20パルスが溜まると「尿意」を感じます。個人差がありますが、200〜300mlです。さらに時間が経過すると次のライン(閾値)を超え、50パルスが溜まると「尿意切迫感」として感じます。400〜500mlです。膀胱に尿が溜まると、膀胱内の圧力が高まるので、3時間かけて20パルスで尿意を感じてから、さらに2時間ほどで、30パルスが溜まります。結果、20+30=50パルスになるのです。すぐにオシッコに行くのです。これが基本的な生理反応なのです。

 

Ansinoabinc2_20190827160701ところが、排尿機能障害のために膀胱出口周辺の平滑筋が過剰に敏感であると、膀胱内の水圧(尿圧)に関係なく情報パルスが短時間で脳中枢に伝達されるのです。当然ですが、脳中枢の情報の蓄積速度も速くなります。例えば、1時間で20パルスの速さです。(イメージで言うと、トトトトトト・・・)そのため、短時間20パルスの情報刺激で尿意を感じます。膀胱内のオシツコの量は少ないけれど、平滑筋が敏感なので、さらに短時間で情報パルスが等比級数的に増加するのです。短時間で正常と同じ20パルス回数になるので尿意を感じるのです。さらに短時間で30パルスの追加があり尿意切迫感も感じるのです。これが過活動膀胱の裏の仕組みなのです。この状況が繰り返し起きると、生体内は無駄な時間やルートを省こうとします。それが、いわゆる条件反射です。この条件反射によって、初めの尿意と尿意切迫感が近接し、さらに時間が経過すると、尿意切迫感と排尿近接して、結果、切迫性尿失禁になるのです。

❶【初めの尿意→我慢→尿意切迫感→我慢→排尿】(1枚目のイラスト)というルートを省略して、

❷【初めの尿意→尿意切迫感→我慢→排尿】次第に、

❸【初めの尿意≒尿意切迫感→我慢→排尿】(2枚目のイラスト)そして最後に、条件反射が完成されて、

❹【初めの尿意=尿意切迫感→排尿】すなわち、切迫性尿失禁になるのです。

治療としては、尿意情報の速度を抑えるために、β作動薬(ベタニス・べオーバ)や抗コリン剤(ベシケア・トビエース)を使用するのです。これだけで、症状が軽快する患者さんもおられます。しかし、膀胱出口周辺の平滑筋が過敏になった原因である排尿機能障害を治療しなければ、難治性過活動膀胱になってしまうのです。

これまでの解説は、全て私のオリジナルです。教科書的な内容ではありません。教科書的な解説では、過活動膀胱を完璧に理解出来ないので、私の想像力で、矛盾のない整合性を得られました。膀胱の情報は常に神経で伝達されます。その神経情報が、私たちのようにスマフォで話しているとは思えません。また、症状が激しいから、神経のエネルギーが倍以上に強くなったとも思えません。生命エネルギーですから、常に一定(フォメオスターシス)の筈です。そう考えると、一定のエネルギーで情報を伝達するためには、単位時間当たりのパルスの数で表現するしかないでしょう。脳中枢は単位時間当たりのパルスの数で判断するように、おそらく作られているのでしょう。

皆さん、いかがですか?切迫性尿失禁について、素人でも理解できたでしょう?単なる膀胱の過敏さだけが、過活動膀胱→切迫性尿失禁を作っている訳ではないのです。生命の幾重にも重なる複雑なシステムが病気を作っているのです。ひとつひとつの症状・現象を正確に考察すれば、複雑な現象も理解出来るようになります。


泌尿器科の病気の全体像

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Lutstotal泌尿器科の病気には、数多くの原因不明の病気がたくさんあります。原因不明のまま治療します。でもそれは、根治的治療ではなく、対症療法なのです。実は、根本的原因が患者さんの自覚しない排尿機能障害が原因なのです。患者さんが訴えもしない排尿機能障害を医師が調べもせずに、目の前の症状だけに振り回されて、さまざまな病名・病気が作られるのです。

ここで示した病気・病名は、それぞれ私が何十人も実際に治療して、治した経験のある患者さんばかりです。

原因が1つなのに、こんなにたくさんの病気になってしまうのは、脊髄神経回路=生きたソフトウエアに依存するからです。情報量の多さによって、ソフトウエアが次々にバージョンアップ(過剰更新)するからです。ただし、そのバージョンアップが、患者さんに警告するだけでなく、苦しめ悩ませるから原因不明の病気になってしまうのです。

排尿機能障害→【無自覚】

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膀胱出口の肥厚➡︎➡︎➡︎膀胱出口の過敏

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       ⬇︎⬇︎⬇︎              脊髄神経回路の工夫

       ⬇︎⬇︎⬇︎                 ⬇︎⬇︎⬇︎

    排尿障害→【自覚】 ❹過活動膀胱:頻尿・尿失禁

       ⬇︎⬇︎⬇︎                ❺間質性膀胱:頻尿・痛み

❶前立腺肥大症            ❻慢性前立腺炎:痛み・しびれ

❷神経因性膀胱            ❼膀胱疼痛:痛み

❸PSA髙値                 ❽慢性骨盤疼痛症候群:痛み

                                 ❾陰嚢掻痒症:かゆみ

                                 ➓❶カンジダ性膣炎:かゆみ

                                 ➓❷慢性胃痛症:痛み

                                 ➓❸坐骨神経痛:痛み

                                 ➓❹舌痛症:痛み

                                 ➓❺幻臭症:臭い

                                 ➓❻頸肩腕症:痛み

                                 ➓❼四肢振戦:運動神経

                                 ➓❽四肢しびれ:知覚神経

急性膀胱炎の2つのタイプ

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Acmecha「急性膀胱炎」には大きく分けて二つのタイプがあります。

若いご婦人の急性膀胱炎と、中高年のご婦人の急性膀胱炎です。一見すると、同じ膀胱炎ですが、実は原因がまったく違うのです。若いご婦人の急性膀胱炎は、時々で年に数回しかありません。ところが中高年のご婦人の急性膀胱炎は、年に5回以上、場合によっては毎月起きることがあるのです。

若いご婦人の急性膀胱炎は、性行為・セックスが原因で、陰部に存在する雑菌が膀胱内に押し込まれてしまうので、発症します。膀胱内に入った大量の雑菌に対して、膀胱粘膜の白血球が雑菌に攻撃をかけて、結果、急性膀胱炎になるのです。

ところが、中高年のご婦人の場合は、そんなに頻繁にセックスをしませんよね?なのに、何故、頻繁に急性膀胱炎になるのだと思いませんか?例えば、80歳の高齢者の方が、急性膀胱炎を繰り返した時に、毎回セックスをしたとお思いですか?

膀胱粘膜に存在する白血球が、常在菌と偶然に出会うと、常在菌に攻撃をかけるのです。実は高齢者の方の場合には、患者さんが自覚していない排尿障害がもともと隠れているのです。その排尿障害が原因で、膀胱には常に負担がかかります。それが原因で、膀胱の粘膜の白血球が常にイライラと興奮いているのです。その興奮した白血球が常在菌と偶然に出会うと、立ち所に攻撃するのです。攻撃された常在菌は、他の雑菌と同じように対抗手段として、細胞分裂を行い、数を増やします。過敏な白血球は当然のように、数の増えた常在菌に攻撃をします。常在菌をたくさん食べた白血球は破裂します。破裂すると白血球内の毒物が放出し散らばり、周囲の膀胱粘膜に炎症を作るので、結果として急性膀胱炎になるのです。

高齢者の急性膀胱炎の患者さんに対して、「入浴の際に陰部をキレイに洗ってくださいね!」とか、「オシッコの後は、トイレットペーパーで前から後ろに拭いてくださいね!」「排便の後も、前から後ろに拭いてくださいね!」とアドバイスしますが、急性膀胱炎は繰り返します。病気の本質を考えもしないで、素人的発想をするのが情けないですね。この世界で毎日入浴するのは日本人だけです。そんな日本人が不潔にする訳がないでしょう!そんなアドバイスをする医師の無知にガッカリです。

Lutstotal_20190914100201「嘘」の急性膀胱炎があります。急性膀胱炎の典型的な症状は、①頻尿(日中だけ)と②排尿痛(オシッコの最後だけの痛み)、③血尿(オシッコの最後だけの血尿)、⓸残尿感の4つが典型的な症状です。ところが、夜間頻尿や常時膀胱が痛い、出始めの血尿、残尿感がないのに、急性膀胱炎と診断されたら、本当の急性膀胱炎ではありません。典型的な症状が無いのであれば、排尿障害が原因の過活動膀胱、間質性膀胱炎、慢性膀胱炎、心因性頻尿、膀胱疼痛なのです。そして抗生剤や抗菌剤で症状が落ち着くから、細菌性の急性膀胱炎と確信してしまう患者さんも医師も多くおられます。そこに誤解があるのです。抗菌剤や抗菌剤は殺菌するばかりでなく、人間を含めた生命の活性を低下させる作用も持っているのです。病気の症状は生命活性の表現のひとつですから、症状が軽快したからっと言って、雑菌が原因の急性膀胱炎とは限らないのです。単なる抗生剤や抗菌剤の副作用効果なのです。

【予防・対策】

若いご婦人が急性膀胱炎の場合は、セックスの直後にオシッコをしてください。膀胱内に侵入した大量の雑菌が排出できるからです。したがってセックスの前には、オシッコをからっぽにしないで下さい。

❷❸排尿障害が原因の中高年のご婦人の場合には、排尿障害の治療を行いましょう。α1ブロッカーのエブランチルと、β3作動薬であるベタニス・べオーバを処方してもらって下さい。

以上の解説は医学書には記載されていません。私だけのユニークな発想です。信じるか信じないかは、貴方次第です。

 

 

急性膀胱炎でわかる事

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前回解説してように、急性膀胱炎には典型的な5つの症状があります。

❶血尿❷混濁尿❸排尿痛❹頻尿❺残尿感です。これらを各々具体的に説明しましょう。

❶血尿:

膀胱粘膜に炎症が起きていますから、一過性に血管が増えます。いわゆる充血です。炎症の基本は、白血球の作用によるものです。膀胱内に侵入した大量のバイ菌に対して、白血球が食べる(貪食どんしょく)のです。1個の白血球で数十個のバイ菌を食べます。無限に食べれるわけもなく、限界に達すると、白血球は破裂します。バイ菌を殺菌するための劇薬物質が周囲に飛び散るのです。中に一酸化窒素NOなどの物質が膀胱の粘膜に付着すると、たくさんの毛細血管が刺激を受けて拡張し、結果、充血するのです。ですから内視鏡で膀胱粘膜を観察すると、たくさんの血管が増えたように見えるのです。オシッコが終わる際に、膨らんで伸ばされた膀胱粘膜が縮んで、充血した血管内の血液がしぼり出されます。毛細血管は一般的の血管に比較して、血液成分が漏れやすいので、それが、急性膀胱炎の症状であるオシッコの、「終わりかけの血尿」になるのです。

C9bbe19612254216afcf97017f29c7ae❷混濁尿(白いにごった尿):

バイ菌を食べる白血球が次々に増えるので、破裂する白血球もさらに増えます。白血球の破裂物質が、膀胱の粘膜を通じて、全身に流れます。それが炎症情報として流れ、体内で警戒している全ての白血球が気づき、膀胱に集まるのです。ある意味で連鎖反応ですから、膀胱内に大量の白血球が集合します。皮膚の傷が膿んだ時の膿みは、白血球の塊スープですから、それが尿で薄まれば白濁の混濁尿になるのです。そのため、尿に大量の白血球が含まれるので、白く混濁した尿になるのです。対策として、水分を多く取って尿量を増やして何回もオシッコをするのです。何回もオシッコをすることで、バイ菌の数を減らして、破裂し散布された白血球の毒物を薄め、白血球の興奮を抑えるのです。

❸排尿痛(オシッコの最後の痛み):

炎症のために、膀胱粘膜は過敏になります。少しでも尿がたまり、粘膜が引き延ばされると「尿意」になります。そしてオシッコをすると、膀胱粘膜が縮みますから、過敏になった粘膜同士が重なりぶつかるので、刺激を受け「痛み」として感じるのです。ですから、急性膀胱炎の排尿痛は、オシッコの最後に痛くなるのです。

★この考え方は、一般的に思われている事ですが、実は、あとの残尿感で解説してるように、オシッコで膀胱が縮むと、膀胱の壁が膀胱出口に衝突するのです。膀胱炎で過敏になった膀胱出口が衝突で刺激されるので、オシッコの最後に感じる排尿痛になるのです。

❹頻尿(1日のオシッコの回数8回以上):

炎症により膀胱の粘膜が過敏になるので、オシッコが100〜200㎖程度で尿意を強く感じて何回もトイレに行くので、頻尿になるのです。ところが、急性膀胱炎の患者さんは、寝てからはオシツコで起きないのです。日中の頻尿はあるのですが、夜間の頻尿はないのです。

★ここで一つ疑問に思われませんか?夜間に寝ている時の方が、尿はタップリと溜まるはずですよね?膀胱の粘膜は引き延ばされて、夜間でも尿意を強く感じるはずです。では何故でしょう。実は尿意のセンサーは、膀胱の出口近くの膀胱三角部と膀胱括約筋にあるのです。日中は立ったり座ったりしていますから、内臓で一番下の臓器である膀胱は、すべての内臓の重さが負担としてかかるので、膀胱内圧が高くなり、膀胱三角部と膀胱括約筋に負担がかかるのです。しかし、夜間寝るとすべての内臓が平らになるので、膀胱に圧力がかかりません。したがって、400㎖溜まって膀胱粘膜の引き延ばされても尿意を感じないのです。

❺残尿感(オシッコが終わったのに尿が残っている感じ):

 オシッコの最後に残尿感を感じる理由があります。オシッコの最後に膀胱が収縮して、お互いにぶつかります。膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部に膀胱全体が当たるのです。炎症で過敏な尿意センサーである膀胱出口に他の部分の膀胱壁が当たると同時に尿意を感じる、すなわち残尿感になるのです。

★そして、排尿後に、次第に尿が溜まり始めると、膀胱壁と膀胱出口との接触が次第に離れるので、残尿感が無くなるのです。尿が溜まると残尿感が無くなるという現象は、不思議で面白いでしょう?

このように急性膀胱炎の症状を詳しく調べることで、症状の発生原理が明確に理解できたでしょう?ところが、一般的な泌尿器科医は、『膀胱が細菌感染で、血尿・混濁尿・排尿痛・頻尿・残尿感が起きるんだ!』と知っているだけで、具体的な理由は無視して『炎症が原因だから仕方がないのだ…』と漠然としたイメージだけで終わらせてしまうのです。ある意味で、適当・いい加減です。当然として、他の病気のことも正確に考えませんから、原因不明の過活動膀胱も間質性膀胱炎も膀胱疼痛も慢性前立腺炎など、症状の組み合わせの偽造病名がいくつも創作されるのです。世間的には有名で頭がいいとされる教授たちが集まって、泌尿器科学会でガイドラインを決めます。当然として、対症療法だけにとどまるのです。

 

 

過活動膀胱でわかる事

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Bladout膀胱の病気で最近有名なのがD活動膀胱です。この病気は原因不明とされています。

過活動膀胱の症状は、❶頻尿❷尿意切迫感❸切迫性尿失禁の3つです。

❶頻尿:

過活動膀胱は、尿検査で白血球も細菌感染も認められません。また、性別では、ほとんどの患者さんがご婦人ですから、前立腺肥大症のような排尿障害は認められません。膀胱鏡検査を行なっても、膀胱の粘膜は正常ですから、原因不明とされてしまうのです。

Bladouttori★私のブログで何回も解説していますが、尿意のセンサーは膀胱粘膜には無いのです。臨床現場では、膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部なのです。何故この事に気が付いたかと言えば、10年以上前に、夕方のニュースで胎児の顔が見えるという、3Dエコー検査に興味を持ちました。『膀胱出口はどのように見えるのだろう?』と思ったのです。高額(定価2250万円→750万円)だったのですが、思い切って購入したのです。泌尿器科の病気で悩まれている患者さんをすべて検査しました。

Bladouttokageすると、正常の人は(初めの写真)無機質に見える(一つ目小僧、丸い穴だけ)のですが、患者さんの膀胱出口は、エリマキトカゲ、小鳥の口ばし、ネコ、恐竜、イルカ、鬼、オバケのQ太郎などに見えたのです。二枚目の写真が36歳で過活動膀胱と診断されたご婦人です。膀胱出口が小鳥の口ばしのように見えますね。3枚目の写真が慢性膀胱炎と診断されたご婦人です。まるでえりまきトカゲのように見えますね。同時に通常のエコー検査と比較すると、膀胱括約筋と膀胱三角部が厚く肥厚しており、膀胱出口周囲の静脈が拡張していて、オバケのや動物の眼のように見えたのです。結果、症状を作っているのは、頻尿・痛み・シビレなどあらゆる症状が、膀胱出口だと理解したのです。つまり、膀胱出口が過敏だと膀胱内圧を受けて尿意を頻繁に感じるので、頻尿になるのです。

 

❷尿意切迫感(オシッコが我慢できない尿意):

尿意を感じて、ある程度の時間ガマンすることができます。しかし、尿意が頻繁に感じると、脳中枢はガマン出来なくなります。それが尿意切迫感です。膀胱出口が排尿障害で極端に過敏になると、尿意情報を短時間でたくさん脳中枢に連絡します。脳中枢は尿意情報を蓄積して、一定の数を超えると切迫感になります。膀胱出口が過敏で、たくさん情報が短時間に流入すると、あっとう間に尿意切迫感の閾値に達してしまうので、我慢のできない尿意切迫感になるのです。脳中枢の尿意システムでは、尿意情報の数は決まっていますから、膀胱の尿量に関係なく、いっぱい溜まったと錯覚してしまうのです。

Oabmec2❸切迫性尿失禁:

膀胱括約筋が過敏のため、正常な人よりも、単位時間当たりたくさんの尿意情報が脳中枢に伝達されます。イメージをイラストで表示しました。

正常な人は、一定の間隔で尿意情報が脳中枢に「ポタポタ」と伝達されます。脳中枢に一定の情報がたまると、「尿意」を感じ、さらに増えると「尿意切迫感」を感じて排尿するのです。

過活動膀胱の患者さんの場合は、単位時間当たり何倍ものたくさんの尿意情報が脳中枢に「ザーッ」と伝達され、脳中枢に一定量がたまる時間も速くなるので「頻尿」なります。そして尿意から尿意切迫感までの時間が無くなり、「切迫性尿失禁」になるのです。

これから分かることは、過敏になっている膀胱括約筋と膀胱三角部の平滑筋の興奮を鎮めてあげればいいのです。そのための治療薬が、β3作動薬のべオーバとベタニス、抗コリン剤のベシケアとトビエース、α1ブロッカーのユリーフとハルナールとエブランチルです。

間質性膀胱炎でわかる事

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原因不明で難病にもされているのが、間質性膀胱炎です。間質性膀胱炎の症状は、❶頻尿、❷尿意切迫感、❸下腹部の痛み、❹陰部・尿道口の痛みです。具体的に解説しましょう。

❶頻尿:

オシッコの回数が非常に多くて、1日に20回〜30回(当院で多かったのは、40回、60回、83回でした)がザラです。過活動膀胱と診断される人は、一般的に1日に10回〜20回前後です。尿検査では、白血球や細菌感染はないので、やはり膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部の過敏さが頻尿を作っているのです。

❷尿意切迫感:

オシッコが終わっても、残尿感は普通ないのですが、5分以内に再び尿意を感じてオシッコをしたくなる=尿意切迫感が出てくるのです。このため、何度もトイレに行くようになるのです。膀胱出口の平滑筋が深部まで過敏だと想像できます。急性膀胱炎の場合は、排尿直後に膀胱壁が膀胱出口に接触するので残尿感を感じ、数分後に尿が溜まりだすと接触がなくなるので、残尿感が消えるのです。ところが、かなり深くまで平滑筋が過敏になると、尿が少しでも溜まると、すぐに尿意が出てしまうのでしょう。

❸下腹部の痛み:

間質性膀胱炎の患者さんは、尿が溜まると尿意の他に、下腹部の痛みを感じます。患者さんは痛み=尿意切迫感と考えてトイレに行くのです。生理学的に考えれば、膀胱という袋の臓器がパンパンに膨らめば、本来なれば痛みになってもおかしくはありません。でも、いちいちオシッコのたび毎に膀胱を痛がってはオシッコをしないように水を飲まなくなってしまうでしょう。そうはならないように、尿がパンパンに溜まったら、脊髄神経回路を介して脳中枢では、尿意→尿意切迫感に置き換えているのです。しかし、膀胱出口が非常に過敏になると、脊髄神経回路内の情報が多すぎて、尿意の神経ルートだけでは伝達出来なくなるのです。そこで、大雑把な下腹部の痛み神経ルートに尿意情報が漏れ出てしまうので、下腹部の痛みになるのです。

❹陰部・尿道の出口の痛み:

頻尿症状ではなく、痛み症状の患者さんも結構おられます。痛み=炎症と考えて尿検査をしますが、白血球や細菌感染は確認できないので、膀胱頚部の粘膜下の間質組織が、原因不明の炎症があるから痛いのだとされています。それ以上の原因を追究しないのです。科学者=医学者とは思えませんよね? 病理学の教科書の「炎症」の定義は、「生物学的、化学的、物理学的刺激による生体の反応を炎症という」とされているのです。ところが、一般の医師は炎症=生物学的刺激=細菌感染・ウィルス感染・免疫反応だと勘違いしているのです。例えば、排尿障害があると膀胱に負荷がかかる=物理的刺激になりますから、炎症が起きるのです。さらに、痛み=炎症とは限りません。なぜならば、症状の発言のためには、脊髄神経回路が関与しているからです。隠れた頻尿情報が脊髄神経回路を介して痛み症状に変換されていると考えられるのです。


3a69cc1daccd4a59b10a9f3fa7a51cb3【備考】

★点状出血

間質性膀胱炎の内視鏡(膀胱鏡)所見では、膀胱粘膜の点状出血と潰瘍があります。膀胱を膨らませると点々と出血点が見え、さらに膨らませると、五月雨(さみだれ)状に膀胱粘膜から血液がポタポタ降り注ぐのです。急性膀胱炎の場合は、膀胱が収縮した最後に血液が絞られて滲み出るのですが、間質性膀胱炎の場合は、その逆で、膀胱が膨らむと血液が出て来るのです。これには出血の原因に違いがあるのです。

 急性膀胱炎では、毛細血管が拡張して血管内に多く残留している血液が、膀胱が収縮ると血液が絞られ出て来るのです。ところが、間質性膀胱炎では、検査で普段以上に膀胱を膨らませると、血管のハッキリ見えない所から血液が滲み出ているのです。この理由は、普段の膀胱容量が小さいので、普通よりも膀胱を大きくされたために、毛細血管が伸び切れなくなり、毛細血管が切れて出血したのです。つまりこの出血は原因不明の炎症ではなく、単なる物理的な血管損傷なのです。

ところが、この点状出血は前立腺肥大症の内視鏡手術(TUR-P)の際の膀胱粘膜によく認められる所見です。つまり、前立腺肥大症の患者さんのように、排尿障害のため頻尿で膀胱容量が小さくなっている患者さん多く認められる所見です。これから考えられることは、間質性膀胱炎のガイドラインを決定した有名な医師たちは、手術の経験が少ないペーパーだけに興味のある外科医ではない泌尿器科の医師ばかりでしょう。

詳しくは次のブログをお読みください。

間質性膀胱炎の「点状出血」

E0942831b9dd4e8ead2304f57aa96ae9★ハンナ型潰瘍

やはり膀胱鏡検査で、間質性膀胱炎の粘膜には、粘膜が欠如した粘膜潰瘍が認められます。これがハンナ型潰瘍と呼ばれます。ハンナ型潰瘍のある間質性膀胱炎は、難病指定の病気です。

しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合は、ピロリ菌などが関与して、粘膜が胃液の「塩酸」によって発症します。ところが、膀胱粘膜の周辺には、塩酸のような劇薬成分はありません。これは、前述の点状出血と同じ理由です。医師のアドバイスで「オシッコをガマンしなさい」と支持されます。当然、適切な膀胱容量が無理やり大きくなります。結果、膀胱粘膜が伸びますが、毛細血管は粘膜ほど伸びないので、血流が途絶えます。まるで梗塞状態になって、血流が届かない末梢の粘膜が壊死して潰瘍になるのです。

これらを、間質性膀胱炎の「特徴」と定義している学会のガイドラインは、想像力のない連中が作成しているとしか思えませんね。

★膀胱水圧拡張手術

間質性膀胱炎の治療が、水圧拡張手術です。膀胱が過敏になり、次第に膀胱が萎縮し、結果として頻尿になります。その膀胱を無理やり膨らませて、膀胱の容量を大きくする方法です。でも、よく考えてみてください。原因が不明のままダメになった膀胱を無理やり大きくするのです。無謀な治療だと思えませんか?この治療で症状が改善するのは、平均で7カ月です。そのため何回この治療をして苦しむ患者さんかたくさんいます。最後には完璧にダメになった膀胱を取り去る手術をするのです。これが標準治療というのは、???……人を助ける筈の医療行為だとは思えません!

 

α1ブロッカーの効く理由

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Smmech_20190921100001前立腺肥大症や排尿障害の患者さんにα1ブロッカーと呼ばれるクスリを私たち泌尿器科医は使用します。

どのような作用なのか、イラストで表しました。平滑筋細胞の細胞膜にα1受容体(α1レセプター)というスイッチが存在しています。自律神経である交感神経の末端から放出されるアドレナリン(カギ)が、このスイッチに作用するのです。α1受容体にスイッチが入ると、平滑筋は収縮します。

例えば、膀胱出口の 括約筋は平滑筋で作られていて、交感神経が緊張・収縮させて膀胱出口を閉じて、尿を貯めるのです。オシッコをする時に、交感神経のアドレナリン刺激がストップするので、膀胱出口はゆるんでオシッコが出やすくなるのです。

ところが、人によって交感神経の指示が止まらずに、膀胱出口が完全にゆるまない人がいます。それが排尿障害なのです。交感神経の末端からアドレナリンが放出し続けるのです。そこで、ユリーフやハルナールなどのα1ブロッカーを服用すると、α受容体のスイッチをブロックするのです。結果、膀胱出口の緊張がゆるんでオシッコが出やすくなるのです。

このα1受容体は、膀胱出口ばかりではなく、前立腺・尿道・膀胱三角部にも存在します。分布・配分は人によって異なりますから、薬の効果に差が出て来るのです。頻尿の原因は膀胱三角部の過敏=平滑筋の緊張ですから、前立腺肥大症で頻尿症状のある人に、α1ブロッカーを処方すると、オシッコの出が良くなるばかりでなく、頻尿も改善する患者さんもいます。そのような人は、膀胱三角部にもα1受容体が多く存在していることになります。

抗コリン剤の効果

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 Smmechm_20190921100001 膀胱平滑筋の細胞膜にムスカリン受容体(レセプター)というスイッチがあります。このスイッチを入れと平滑筋は収縮するのです。

ムスカリン受容体の多い平滑筋は、膀胱壁の筋肉(膀胱縦走筋+膀胱輪状筋)です。副交感神経から放出されるアセチルコリンがムスカリン受容体のスイッチに入ると、膀胱壁の平滑筋が収縮して、膀胱は小さく収縮し、オシッコが出るのです。このアセチルコリンは脳神経中枢でも利用されている生物活性物質です。

「頻尿」の患者さんに、抗コリン剤を処方すると、ムスカリン受容体がブロックされて平滑筋を弛めようとします。膀胱の収縮を阻止する訳ですから、膀胱内の水圧が低下して、尿意が抑えられ頻尿が少なくなるとされています。抗コリン剤(ベシケア・トビエース・ネオキシテープ)が過活動膀胱の治療薬になるのです。

尿が溜まった状態で、膀胱内圧が上昇すると尿意を感じ、それが何らかの原因で極端になるから頻尿になると一般的に思われています。過活動膀胱や頻尿の患者さんに抗コリン剤を処方すると、頻尿が確かに治ります。しかし、数十パーセントの確率で、オシッコが出なかったり出にくくなったりすることがあります。これは、抗コリン剤が膀胱壁(膀胱縦走筋+膀胱輪状筋)を収縮させないので、尿意が強くてもオシッコが出なくなり苦しむのです。そこに一般的な「尿意理論」の矛盾があります。オシッコが出なくなるほど膀胱の緊張がゆるんで、内圧が下がっているのに、なぜ尿意が強く出るのでしょうか?オシッコが出ないほど膀胱がゆるんでいるのに…実は、この理論が間違っているとしか思えません。

「尿意」とは、学会の常識では《膀胱粘膜が内圧を感じていている》とされています。しかし、おそらく昔からある見かけ上の間違った概念で、本当は《膀胱出口の膀胱括約筋と膀胱三角部の平滑筋が主に感じている》と、私は考えています。そこが過敏になると、内圧に関係なく尿意を強く感じるのです。その括約筋と三角部の平滑筋にムスカリン受容体が豊富であれば、その興奮を抗コリン剤でゆるめることが出来き、そうでなければ、尿意は無くならないのです。

Bladside2抗コリン剤の的であるムスカリン受容体は、膀胱を収縮させるための膀胱壁(膀胱縦走筋+膀胱輪状筋)に多く分布していると思われます。要するに、動力装置のスイッチなので、抗コリン剤が膀胱を収縮しないように抑える作用が強く出るのです。膀胱内圧が少し低下するので、尿意が落ち着くと考えますが、副作用として尿閉や尿が出にくくなってしまいます。膀胱が収縮しないので、膀胱に腹圧をかけても、膀胱の形がオシッコの出にやすい形にならないからです。本来、オシッコの際に膀胱は漏斗状になるのですが、膀胱壁が収縮しないので、漏斗状になれなくなります。

抗コリン剤は脳神経中枢にも作用しますから、また、認知症の副作用も最近では懸念されています。極力避けるべきだと言う専門家もいます。ムスカリン受容体に作用するアセチルコリンは副交感神経から放出されます。見方を変えると、アセチルコリンを共通とする、脳神経中枢と副交感神経の繋がりを強く感じます。内臓を積極的に動かす副交感神経の方が、自律神経のサブ=副ではないのではと思えて仕方がありません。逆に交感神経の方がサブ=副なのでは?と思えます。

 

 


治らない間質性膀胱炎のご婦人

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京都から間質性膀胱炎が治らないで悩まれているご婦人が来院されました。

間質性膀胱炎で有名な京都の某病院で、定番の水圧拡張治療を2回も受けたのですが、再発再発でした。その間に、毎日IPDカプセルを服用し、定期的に膀胱粘膜の過敏さを鎮めるために、膀胱内にクスリ(ジメチルスルホキシドDMSO )を注入していますが、改善しません。現在の症状は、頻尿が毎日30回、陰部や膀胱の痛みがとても強いのです。

Ic37355f66ppエコーの検査では、写真のように膀胱排尿筋の向きが、本来の膀胱出口の方向ではないので、尿意センサーである膀胱三角部が相対的にとても厚く肥厚しています。膀胱括約筋の先端から膀胱粘膜までの距離は2mmが正常ですが、この患者さんは10mmの5倍厚く(赤い矢印↔)なっています。当然ですが、頻尿になります。

さらに頻尿の余ったエネルギー情報が、脊髄神経回路を介して痛み症状に置き換わるのです。その症状だけに振り回されて、『炎症だから』『原因不明……きっと膠原病かアレルギーだろう』と考えて、抗アレルギー剤であるIPDを飲まされ、粘膜の興奮を抑える薬剤を注入され、『頻尿=膀胱が小さくなっているから』と水圧で膀胱を無理やり拡張して、膀胱そのものを傷付け壊しているのです。

患者さんにαブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフなど)とβ3作動薬(ベオーバ・ベタニス)と鎮痛剤(トラムセット)を処方しました。1カ月経過してから、お電話で経過報告がありました。まずは頻尿は30回→15回に減少し、痛みは100%→30%に軽快しました。精神的にも患者さんは元気になり、明るい将来が見えたようです。

 今までの常識的な間質性膀胱炎の治療が如何に「いい加減」かが分かったと思います。間質性膀胱炎で有名な医師たちが、見当違いの治療をして、実は患者さんたちを苦しめているのです。ある意味で、これらの医師は犯罪者ですね?学会では非常識の独自の考えをたったひとりで診療している私ですが、孤独ですが、・・・本当に良かった!

 

頻尿で見つかった膀胱腫瘍

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60歳代のご婦人で、9月より排尿痛と頻尿で、地元の内科で「膀胱炎」と診断されました。尿検査で潜血反応と白血球がわずかに認められました。抗生剤をフロモックス、レポフロキサシン、ミノマイシンなどいくつも変えられましたが、効果が得られませんでした。

そこで泌尿器科の当院に来院されたのです。エコー検査で頻尿と血尿の原因が判明しました。膀胱の左壁に腫瘍陰影が確認できました。ドップラー検査で、腫瘍陰影内に動脈の流れが確認(赤い部分)できました。おそらく膀胱ガンです。

Bt16904f63大きさは一番長い部分で5.0cmもあり、おおよそ33ccの大きさです。このくらいの大きさであれば、膀胱壁の粘膜→粘膜下層→筋層までガン細胞が浸潤している可能性が高いので、場合によっては、膀胱全摘出手術+人工膀胱の必要があります。当然、街中の小さなクリニックでは治療はできません。そこで、基幹病院や大学病院に紹介しなければなりません。(初めの写真は膀胱の側面像、2枚目が正面像)

Bt16904f633ご主人と一緒にご夫婦で、病気について説明しました。ご希望の病院を指定して頂ければ紹介しますとお話ししました。地元では、東邦大学医療センター大森病院、昭和大学病院の主任教授とは、懇意にしていますし、私の出身の慈恵医大でもどこでもご紹介はご希望通りにします。

間質性膀胱炎で不必要な治療を受けた患者さん

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2007年の今から12年前の間質性膀胱炎・陰部疼痛症の女性患者のKさんお話しです。間質性膀胱炎・陰部疼痛症は排尿機能障害と膀胱三角部の過敏さが作る病気です。

Kさんは、間質性膀胱炎の診断を受けるまで大学病院を含め4箇所以上の医療機関で治療を受けましたが治らずに、高橋クリニックへ来院した患者さんです。尿が少したまるだけで下半身の強烈な痛みと1回の尿量が100ml、1時間に1回の頻尿、夜間3回の頻尿状態でした。

頻尿症状は子宮筋腫が原因と診断した、ある病院の婦人科で子宮摘出手術までされました。まだお子さんがいなかったのに関わらず、苦渋の選択でした。しかし婦人科の手術後、頻尿の他に痛みがさらに強く出現するようになり、婦人科執刀医に相談したのですが、「あっそうですか。」としか言われなかったのです。……無責任な医師ですね!

そのKさんの強い希望で、平成17年11月に内視鏡手術を行ないました。手術後、頻尿が2時間に1回、夜間が2回にまで減少しましたが、……症状は不安定でした。次第に痛みが再発し増強したため、2度目の内視鏡手術を平成18年1月に行なったのです。

956554bed0214df09a3102d0d38aa9d9その後、半年間は来院されなかったので心配していました。翌年の7月ある日、突然来院されました「心配していましたよ。どうしてたの?」と質問すると、とっても具合が良かったとのこと。あの毎日の強い下半身の痛みがほとんどなくなり、好きなテニスをガンガンとこなし、たくさんの試合に参加して上位入賞を果たしていたのでした。2週間に1日か2日の頻度で痛みの出ることはありましたが、ほどなく治まるので様子をみていたとのことでした。ところが、平成18年の7月になり痛みが出現、この3日間治まらず、遂に観念して高橋クリニックを再び訪れたのでした。

さて、こうなると痛みのコントロールが難しくなるのです。過去に内視鏡手術を行なって、過敏な膀胱三角部を治療(センサーの破壊)しても、長年の病気で形成された脊髄神経回路の痛みのソフトウェアは絶対に消えないのです。落着いていた時に、膀胱三角部の信号が、その脊髄内のソフトウエアーを起動しないように心掛けていないといけません。ソフトウェアーは起動したくてしたくて仕方がありません。どんなささいな信号でもソフトの起動に結び付けようとします。一度結び付けられると、それを外すのが難しいのです。

手がない訳ではありません。デパスなどの自律神経調節剤の服用や神経ブロックを小まめに行なうことで、外すことが可能と考えています。今だとトラムセットで治療できますが、当時はまだ販売されていませんでした。

そこで7月13日(金)に仙骨神経ブロックを行ないました。翌日に来院されないので落着いているなと喜んでいたら、その日の夜に再び痛み出し、夜の午後10時にご主人の車で来院されました。仙骨神経ブロックを行なうと、激しい激痛が10分ほどで治まり、笑顔で帰宅できるようになります。さぁこうなると、Kさんの脊髄内ソフトとの持久戦です。どちらかが音を上げるまでの勝負です。Kさんは、昨日に引き続き、翌日の22時にも来院され、仙骨神経ブロックを受け、直ぐにお帰りになりました。やはりご主人が自家用車で送迎です。愛されていますネ。この仕事は、根気と忍耐と、たゆまぬ努力です。このような仕事を天命として私に授けていただき、神様に感謝します。

結局、Kさんの痛みはますます強くなり、毎日の仙骨神経ブロックでも12時間ほど位しか痛みを管理できなくなりました。横浜の地元のペインクリニックに依頼したのですが、私ほど上手くはいかなかったのです。本人の希望もあり、7月19日の朝9時に3回目の緊急手術になりました。手術のための麻酔がどういう訳か十分に効かずに、膀胱の刺激で陰部痛のどこが痛がっているのかが判明しました。ある意味ラッキーです。患者さんのご協力で、その痛い個所を電気メスで入念に切開・凝固を行ないました。まるで私は「サド侯爵」です。

手術は無事に終わり、午前11時には帰宅です。Kさんのテニス仲間が4人もお見舞いに来院し、狭い待合室は大騒ぎです。聞こえてくる会話からは、これから昼食でも一緒にという雰囲気です。『緊急手術の後なのになぁ・・・_| ̄|○。』

さてさて、手術の結果、痛みは嘘のように軽減しました。7月21日、Kさん曰く、100%の痛みが1~2%前後になったそうです。毎日行なっていた仙骨神経ブロックは手術後一回も行なっていません。肩の荷が下り、ヤレヤレです。

その後12年以上経過していますが、半年〜1年に1回来院されて、現状を報告されています。落ち着いていて、私としてもとても安心です。

 

時代

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Jidai中島みゆきさんの作詞・作曲・歌

今はこんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には なれそうもないけど
……「さまざまな病気や人生で苦しむ人はたくさん存在します。だからと言って、すべてが終わりではありません。」

そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから 今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう
……「病気で苦しんだ人が、原因が判明して治療することにより、症状が軽快します。あんなに苦しんでいたのに、喜んだお顔になり、嘘みたいに元気になります。そして過去を振り返って、当時のことを思い出すのです。何もない気楽な人生、仕事ばかり懸命にしている人生、好きな趣味ばかりの人生、浮気ばかりの人生、お金儲けだけの人生、恋愛ばかりの人生などなど……人生を真剣に考えることはしません。」

まわるまわるよ 時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって めぐりあうよ
……「この地球は空気も水も土も無限大に存在する訳ではなく、限られた存在です。人に魂があるとすれば、当然として限られた存在でしょう。当然ながら、水と同じで見えない水蒸気→雲→雨→水→川→海→水蒸気と繰り返しています。見えない二酸化炭素→光合成→炭水化物→燃焼→二酸化炭素と繰り返します。当然ながら、見えない魂→赤ちゃん→人間→いろいろな人生→他界→魂となるのでしょう。」

旅を続ける人々は
いつか故郷に出会う日を
たとえ今夜は倒れても
きっと信じてドアを出る
たとえ今日は果てしもなく
冷たい雨が降っていても
……「旅=さまざまな人生を人は過ごすのです。その人生が客観的にハッピーだろうが、不幸だろうが、繰り返し繰り返し経験するのです。旅ですから、一か所にとどまることはありません。」

めぐるめぐるよ 時代はめぐる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ
……「人生は何度も何度も生まれ変わりを繰り返すのです。そのすべてがハッピーでもなければ、すべてが不幸でもないのです。繰り返し繰り返し様々な経験や体験をするのです。さらに一回の人生の中でも、ハッピーも不幸も繰り返し起こるのです。病気で苦しんでいる人も、必ず解放される日が来るはずです。」


まわるまわるよ 時代はまわる
別れと出逢いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ

今日は倒れた旅人たちも
生まれ変って歩き出すよ

なかなか治らない過活動膀胱、間質性膀胱炎の患者さんへ

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慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、難治性過活動膀胱でなかなか治らない患者のお役に立てれば良いと思い、主治医に下記の文面を参考にお渡しください。

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日本全国から慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・難治性過活動膀胱などの患者さんが、たくさんおいでになります。その原因のほとんどが排尿機能障害です。しかしながら、患者さんが自覚しない軽微な排尿機能障害が原因なのです。現代医学では、原因不明の病気として対処するのは、科学的とは言えません。

ところが、患者さんが自覚しないために、警告するために患者さんの脊髄神経回路が工夫して、医師が予想しないさまざまな症状、頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁・さまざまな痛みやシビレ感やかゆみなどの症状になるのです。その症状に応じて、関与した医師が、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、難治性過活動膀胱、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群などの病名が付けられて、症状に応じた対症療法しか行わないので、患者さんがなかなか治らないのです。「原因不明」のまま教科書やガイドライン通りに治療することは、非科学的な行為そのものです。

80f658b9d2d34c6f831bbe387ede7f0a 地元の主治医先生にお願い申し上げます。ウロフロメトリーや残尿測定や前立腺の大きさに明確な異常が無くても、軽微な排尿機能障害が膀胱三角部と脊髄神経回路を介して、イラストのように症状を作っていると思ってください。

①そして第1の治療は、排尿機能障害の治療薬としてα1ブロッカー(ユリーフ、ハルナール、フリバス、エブランチルなど)を必ず使用してください。ご婦人の場合は、使用出来る保険薬はエブランチルしかありません。反応が弱ければ、ユリーフ・シロドシンを処方してください。もちろんご婦人の場合は、保険適応外になるので、自費で処方されたら助かります。シロドシンだとジェネチックですから、1カ月分2千円ほどですから、患者さんへの負担が少ないのです。もしも治療を優先するのであれば、ご主人やお父様の許可を得て、保険で処方して頂ければ、患者さんは医師の使命感にとても感謝されるでしょう。

②尿意センサーである膀胱三角部の興奮を鎮めるために、β3作動薬であるベオーバ、ベタニスを使用してください。頻尿だけでなく、痛み、痒み、しびれ、違和感にも効果が得られます。

③β3作動薬で不十分な場合は、抗コリン剤のベシケア、トビエースなどを使用してみてください。

④前立腺が大きければ、アボルブを併用すると、症状の改善を補助します。

⑤経過が長いために、脊髄神経回路の完成度が高く、とても興奮しやすいと、上記のクスリだけでは、なかなか治りません。その場合は、トラムセット、リリカを併用してみてください。

少なくても3ヶ月間の治療は続けてください。お願い申し上げます。この病気は高血圧や糖尿病と同じで、治る病気ではないので続けてください。症状が落ち着いたら、処方量を患者さんに応じて減らしても構いません。よろしくお願い致します。

高橋クリニック 高橋知宏(無名の開業医)
東京都大田区中馬込2-22-16
03ー3771ー8000

間質性膀胱炎のある患者さん

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北海道から来院された30代のご婦人です。「間質性膀胱炎」と診断されて、今までに4回も「膀胱水圧拡張術」を受けたのです。しかし、症状は全く治らず、逆にひどくなったのです。

この患者さんの症状は、毎日40回と夜間5回の頻尿と、下腹部痛(膀胱痛)でした。経過の中で頻尿の改善のために、バルーンカテーテルを留置されたのですが、尿意が止まらず、さらにカテーテルの周囲から尿漏れ状態で苦しんでいました。自殺も考えていたのです。


4軒の病院の担当の医師たちに相談しても「他に治す方法がない」と言われたのでした。そこで、ご主人がインターネットで探しまくって、高橋クリニックを見つけたのです。

Ic37149f355pp エコー検査では、予想通りに膀胱三角部が厚くなっていました。膀胱排尿筋が膀胱出口に向かっておらず(白い→)、相対的に膀胱三角部が厚くなっています(赤い↔)。これは、排尿機能障害が原因の結果です。そこで強目のα1ブロッカーとβ3作動薬を処方しましたが、なかなか改善しません。患者さんはどうしても手術をして欲しいと懇願したのです。しかし、手術をしても確実に治る訳ではありません。


Ic37149f353どうしても手術を希望されたので、12月24日のクリスマス・イブの日に内視鏡手術を行いました。

そこら中の膀胱粘膜に白苔変性が散見されました。赤い部分が正常に近い膀胱粘膜で、白い綿のように見えるのが白苔(はくたい・白いコケの様)です。膀胱バルーンカテーテルの留置期間が長かったためか、4回もの無理な膀胱水圧拡張術の後遺症です。膀胱が過敏な病気なのに、膀胱を傷だらけにする治療は如何なものでしよか?


Ic37149f35次に膀胱出口を観察すると一見正常ですが、少し狭く見えます。そして完全な円形ではなく、歪(いびつ)な形状です。さらによく見ると、いわゆる「炎症性ポリープ」が確認できました。

Ic37149f352膀胱出口が十分に開かないで排尿するために、尿流がジェット流になります。流体力学の「ベルヌーイの法則」で、液体の流れが速くなればなるほど周囲の圧力は低下するのです。その結果、膀胱出口の粘膜に極端な陰圧がかかり、粘膜が膨らみ炎症性ポリープと診断されるのです。また膀胱出口自体にも陰圧がかかり、反射的に膀胱括約筋が緊張し続けるので、膀胱出口は次第に硬くなるのです。「炎症性」とは、原因を追求もなしで名付けた理由のない病名です。


D2176b6cb23847f0a515d70f9cb53a30仙骨ブロックでの手術ですから、筋肉はある程度の動きが可能です。患者さんに腹圧をかけて排尿動作を試みてもらいます。本来ならば、息んだ時には膀胱出口が開くのですが、この患者さんは全く不動で開きませんでした。つまり小さな出口のままで排尿するので、ジェット流になるのです。膀胱括約筋と膀胱排尿筋(膀胱縦走筋)とのバランスが乱れて開かないでのです。つまり膀胱括約筋が弛緩しないで緊張したままなので、開かないでのです。結果、この患者さんは膀胱頸部硬化症・膀胱出口閉塞症だということが判明したのです。

Ic37149f354

膀胱出口の6時の方向を十分にTURis蒸散切開しました。膀胱三角部の延長線の終末が膀胱出口6時の位置を通って、尿道内まで及んでいるのです。頻尿・残尿感の主な情報発生場所が膀胱三角部ですから、この場所を可及的に切開するべきです。さらに膀胱内の膀胱三角部まで蒸散切開しました。次に膀胱出口の12時の方向も蒸散切開をします。膀胱出口の12時は膀胱括約筋が一番厚くなっている部分だからです。しかし左右対称に切開すると、もともとの形状に戻るので、時間が経過すると、手術前と同じになる可能性があります。それを避けるために、チョッと工夫して左右非対称にします。

翌日、バルーンカテーテルを抜去しました。術後3日目に症状の変化をお聞きすると、頻尿が40回→20回の半分に減少し、夜間頻尿は何とゼロになったのです。ご主人は「妻がイビキをかいて寝ていました」と報告して頂きました。良かった!

Da35234896b04ca0abd558ed47dde237 北海道に帰られる日に、正月に患者さんにお渡しする干支の土鈴人形を差し上げました。すると来年がご自分の干支なので喜んでおられました。これを御守りにして、新たな人生を始めますとおっしゃっていました。

膀胱が小さくなって行く原因を「間質性」と顕微鏡検査の原因不明の見た目だけの病名を付けて、膀胱を無理矢理と膨らませるのは、どう考えても臓器障害の非科学的な行為です。短絡的発想の著名な泌尿器科医が考えた術式でしょう。何かの原因で胃袋が小さくなって食欲がない患者さんに、胃袋を無理矢理と膨らませる治療が正しいでしょうか?

医師は病気(病名)だけを診るのではなく、患者さんの本質を診なければならないのです。慈恵医大創設者の高木兼寛先生のお言葉です。患者さんは千差万別です。それを限られた病名でいくつかにしか分別しないのは、間違いです。

エコー検査で分かる膀胱出口の秘密構造

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エコー検査で膀胱出口を観察すると、側面像で見えるのは、一般的に膀胱三角部と膀胱排尿筋だけです。ところが、排尿機能障害が強く長期間であると、側面像に膀胱括約筋が観察されます。膀胱出口の正面像では、イラストで示すように、左右に膀胱括約筋(青色)常に確認できます。12時と6時の位置には膀胱括約筋は無い筈なのです。6時には膀胱三角部があるので、ないのは当然です。

 

Bsph5_20200103104401 それから考えると、排尿機能障害が強く長期間であると、左右の膀胱括約筋が次第に前後左右に肥大し大きくなり、12時の方向に伸びてイラストで示すように、左右が融合するのです。結果、側面像で膀胱括約筋が容易に確認できるのです。6時方向は膀胱三角部が排尿機能障害で次第に肥大して太く大きくなるので、膀胱括約筋はブロックされるのです。そのため、側面像でも下の位置には膀胱括約筋が観察できないのです。

膀胱括約筋が12時の位置で完璧に癒着・融合している場合と、癒着していない場合とでは、膀胱出口の開き具合が当然異なります。膀胱括約筋が12時の位置で筋肉が無ければ、膀胱出口は伸縮性があり開きやすいのです。しかし左右が12時の位置で癒着・融合ていれば、筋肉の硬さで容易には開かないでしょう。

D2d14a115c7c4fbabc470ab37674338b 以上から、膀胱括約筋の形は完全な円形ではなく、最大で【1時〜5時】と【7時〜11時】に存在するだけです。下部尿路症(慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱・前立腺肥大症・膀胱疼痛)の患者さんの初診の際には、必ずエコー検査で側面像を観察しましょう。側面像で膀胱括約筋を見つけたら、「排尿機能障害」を確認したことになるのです。この写真では、膀胱括約筋はほぼ見えません。ところが、いろいろな患者さんを拝見すると、膀胱括約筋がハッキリと見えるのです。

もちろん患者さんによっては、12時の位置に膀胱括約筋が確認出来なくても、排尿機能障害が隠れている人も、膀胱括約筋が確認できても排尿機能障害のない人もいます。人はいろいろですからね。

Bsph1pp 【症例①】#22853男性29歳   以前から睾丸が痛くて何軒も泌尿器科で診察を受けましたが、「慢性副睾丸炎」と診断されて、治療を受けるも全く治らなかったのです。そこでインターネットで当院を見つけ来院されました。側面像で膀胱括約筋が白く確認できます。

 

Bsph2pp 【症例②】#22808男性65歳   頻尿・尿意切迫感の症状で悩まれた高齢者です。地元の泌尿器科で前立腺肥大症だから仕方がないと診断されたのです。膀胱括約筋が白く確認できます。膀胱三角部も発達しているので、頻尿・尿意切迫感が生じるのです。αブロッカーとβ3作動薬で症状は軽快しました。

 

Bsph3pp 【症例③】#22707男性45歳 尿道口の痛みがなかなか治らず、非細菌性慢性尿道炎と診断された患者さんです。抗生剤をいくつもたくさん内服しましたが治らないのです。膀胱括約筋が白く確認できます。膀胱三角部も発達しています。αブロッカーとβ3作動薬で尿道口の痛みは無くなりました。

慢性前立腺炎のエコー所見  http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2007/03/post_b4e1.html

間質性膀胱炎のエコー所見  http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2007/03/post_b4e1.html


過活動膀胱の後遺症「低活動膀胱」

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インターネットで調べると、私が否定する医学常識がたくさん掲載されています。その例として、実例をご紹介しましょう。
7c78c626a866459fb17b65e459e3335c過活動膀胱を放置すると、「低活動膀胱」という病気になるとされています。ある有名な医師のインターネットで得られた説明が下記の通りです。(……)に私の反論意見を記載しました。

https://www.google.co.jp/amp/s/tokusengai.com/_amp/_ct/17252274

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「低活動膀胱」とは、これは膀胱の筋肉の力が低下して、うまく縮まらなくなり、たまった尿をスッキリ出せなくなる状態です。長い間、過活動膀胱で過敏に働き続けた筋肉が疲れて衰えてしまって働きが弱り、低活動膀胱になるのです。(ある意味で、神経因性膀胱でしょう。では、神経因性膀胱と思われる患者さんの多くに、過去に過活動膀胱であるかと言うと、そんな事はないのです。)

膀胱の筋肉の収縮が起こらなくなると、尿意をあまり感じなくなります。過活動膀胱によって頻尿で困っていた人は「よくなった」と勘違いすることもありますが、そうではありません。

低活動膀胱が進行すると、膀胱が本来持っている排尿機能が失われ、膀胱はただ尿をためるだけの袋になってしまいます。(膀胱はもともと強い排出力はありません。膀胱の出口が開くか開かないかにかかっています。オシツコの勢いは、単に腹筋や内臓の重量による腹圧の力です。)

そうなると、うまく排尿できなくなって、膀胱に絶えず尿がたまってしまいますから、細菌感染症や結石症が起こりやすくなります。(膀胱内の尿は無菌です。また、膀胱結石も排尿障害がなければ出来上がりません。)

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その理由として、過活動膀胱が原因だとされています。
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「過活動膀胱」になるいちばんの原因は、加齢に伴って膀胱への血流が低下することで、膀胱の神経が傷ついたり、硬くなったりすることです。膀胱の柔軟性が失われ、尿を十分にためられなくなります。
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以上の解説は、私から言うと余りにも支離滅裂のいい加減です。目の前の患者さんの所見だけを見て、適当に説明しているだけです。物事は目の前の三次元だけでなく、四次元的な発想をしなければ理解できません。四次元=時間経過も考えないといけません。

過活動膀胱になる理由が、加齢による血流障害と神経障害とされていますが、もしもそうだとすれば、40歳以上、日本人の半分以上、五千万人以上が過活動膀胱になっても不思議ではありません。現実には820万人です。ハッキリした原因も追求もしないで「加齢のせい」にしているのです。では、十代、二十代の過活動膀胱の患者さんも加齢が原因だと思われますか?加齢が原因だとするには矛盾があります。

低活動膀胱になる原因が、膀胱の筋肉が働きすぎて筋力が低下したからと掲載されています。人間の体で鍛えているのに、疲れたから筋力が低下すると言うのは非常識な考えです。鍛え続けていれば、筋力は衰えることはありません。

筋力が低下するのは、筋肉が鍛え過ぎたからではなく、外部から無理やり鍛えられたからです。筋肉の閾値を超えて負荷を掛けられたからです。

以上から分かるように、泌尿器科の一流の医師でさえ、この程度の一貫性のない論理なのです。ましてや普通の医師ならもっとダメでしょう。

Oabmec3過活動膀胱の原因は、膀胱出口が十分に開かない排尿機能障害が原因なのです。そのため、排尿する度に膀胱に負担がかかり、膀胱の壁の筋肉がマッチョになるのです。膀胱が積極的に働いたからマッチョになったのではなく、無理矢理の圧力がかかったからマッチョになったのです。相対的に膀胱三角部にも負担がかかり、頻尿や尿意切迫感になり、原因不明の病名である「過活動膀胱」と診断されるのです。

この時点で、膀胱がどんどん疲弊(ひへい)するのは当然です。医師が原因追求もせずに、患者さんの具合を放置するのは、医師としてあまりにも無責任です。自分たちの名誉や出世だけにしか興味を持たない情けない人格の医師ばかりです。

この過活動膀胱の状態が長期間継続すると、悪循環で膀胱出口はますます開かなく硬くなります。すると膀胱壁は収縮できなくなり、壁は次第に萎縮するのです。膀胱三角部の過敏症もマックスになり、脊髄神経回路は情報収集をブロックするために、尿意が無くなるのです。この状態を(低活動膀胱」と表面的な診断をされてしまうのです。

過活動膀胱も低活動膀胱と同じ流れで、時期の違いでしかありません。治療はどちらも排尿障害を積極的に治療しなければなりません。

物事は医学に限らず、本質を見極めないで見えている表面的な事しか考えないので、どんどん不思議な現象になっていくのです。

夜間多尿の理由

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夜間頻尿の理由のひとつに「夜間多尿」という現象があります。夜間多尿は寝てからのオシッコの量が多い場合を意味します。定義として、1日の尿量の33%が夜間の尿量とします。例えば、毎日のオシッコが1.8リットルとすると、夜間だけで600㎖以上の尿量がある場合です。高齢者や高血圧の患者さんが、疫学的調査で夜間多尿が多く認められています。その理由について学会の有名な医師の説明によると、❶水分の摂り過ぎ、❷高齢者、❸抗利尿ホルモンの低下、❹塩分の摂り過ぎ、❺高血圧、❻腎臓に障害がある、等などの様々な理由をあげています。

 

多くの医師は、生化学的な観点からしか物事を考えないのです。そのため、理由が明確に追求できないのです。しかし、解剖学的構造学的な観点から考えると見えて来るものがあります。

Aortakidney 解剖学的腎臓の位置は寝ている時の姿です。起き上がっている時とでは、状態が異なります。起き上がると、腎臓の重さで下に移動します。おおよそ5cm以上です。10cm以上落下して症状がでると、「腎下垂・遊走腎」と云います。その症状が、腰痛、脇腹痛、吐き気などです。その理由は、腎下垂で腎動脈が引き伸ばされたために、腎血流量が低下して、ある意味で腎臓が阻血・虚血状態になるので、腎臓が痛くなり、腰痛・脇腹痛・吐き気になるのです。ちょうど、狭心症や心筋梗塞の胸の痛みと同じです。

Aortakidney2 高齢者になると、筋力が低下して、腹腔内の脂肪も減り、腎下垂の確率が高くなります。さらに動脈硬化のため、引き伸ばされた腎動脈の内腔が狭くなるのです。高血圧の人は、さらに動脈硬化が強いので、さらに狭くなります。

Yakantanyo_20200129112301 高齢者が日中に起き上がる、座る、立つと、腎臓は下垂して腎血流量が低下します。腎臓に注がれる水分が少なければ、日中の尿量は減少します。そのため排出できなかった水分が体内の細胞外液として残されてしまいます。寝て横になると、腎臓が元の位置に戻ります。血流が回復すると、体は「今がチャンスでだ!」と腎臓にたくさんの水分が流れて、たくさんの尿量が作られます。その結果、「夜間多尿」になるのです。排尿障害で膀胱容量が小さくなっている人は、当然、夜間頻尿になるのです。

昼間の水分が体内に残っている訳ですから、それを改善するために、夜間の抗利尿ホルモン分泌を抑えて多尿にするのです。

対策として、❶水分を控える❷昼間に1時間ほど昼寝したり横になることです。また、❸治療薬としては、合成抗利尿ホルモンのミニリンメルトOD錠があります。

 

夜間多尿はいろいろな原因説明がありましたが、本当の原因は動脈硬化と高齢者による腎下垂が原因です。その理由でいろいろな原因が一筋にまとまりました。

 

夜間多尿は、体を正常にするために、体に大量に溜まった水分を少しでも少なくする目的で、夜にオシッコをたくさん出しているのです。抗利尿ホルモン単独で夜間多尿を抑えると、さらに水分が体に溜まり、血液が水っぽくなる=低ナトリウム血症になり、頭痛、吐き気、食欲不振、錯乱、ケイレンなどの症状が発症して、本当の病気になってしまうのです。ですから、水分は控え目にすることと、日中に昼寝でもして、日中の尿量を増やしましょう。

 

 

原因不明の泌尿器科の病気②

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Imuno6_20200727095301❷間質性膀胱炎・過活動膀胱

 頻尿と膀胱の痛みのある症状で主に女性の病気が「間質性膀胱炎」です。痛みがなければ「過活動膀胱」と診断されるのです。内視鏡検査で、膀胱を膨らませると、膀胱粘膜に点状出血・毛細血管の蛇行と粘膜に潰瘍所見(ハンナ型)が認められます。

 この所見は、専門医たちは膀胱粘膜に下の間質に炎症細胞が存在するので、免疫か原因不明の「膀胱粘膜の下の間質の炎症」=「間質性膀胱炎」と考えているのです。ですから、抗アレルギーの薬のIPDが使用されているのです。しかし、IPDは間質性膀胱炎の治療効果がなかったので、保険適応の薬にはなりませんでした。

 排尿機能障害の、症状は基本的には頻尿です。しかしながら、十分な頻尿症状がなければ、体は努力して他の症状を脊髄神経回路を利用して、別の関連痛の症状を作ります。男性のように前立腺があれば、前立腺肥大症・慢性前立腺炎と診断されますが、女性の場合は前立腺がなをいので、間質性膀胱炎と診断されるのです。

 間質性膀胱炎の主な治療が、膀胱水圧拡張手術てす。原因不明で萎縮小さくなった膀胱を無理やり膨らませる治療が正しいと思えますか?ダメになった膀胱を何も考えずに無理やり膨らませれば、膀胱はもっとダメになるに決まっているのです。

 間質性膀胱炎と有名病院(都立広尾病院・東京大学・女子医大)で診断されて、何回も膀胱水圧拡張術を受けたにもかかわらず、1日の頻尿が60回で夜間頻尿が10回、さらに毎日3回の陰部の激痛(ナイフで刺された感覚)の患者さんは、軽度の排尿機能障害が認められました。当時はβ3作動薬がなかったので、本人の希望もあり内視鏡手術を行いました。

http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2020/02/post-236af2.html

 この患者さんは、排尿障害の内視鏡手術すると、一気に治りました。それから15年以上も症状は出ませんでした。しかし、ある日に脳出血で突然死してしまいました。患者さんのご主人が、病気のない妻の人生に感謝されました。………主治医としてはガッカリでした。

 

難病指定の間質性膀胱炎の患者さん

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Ic37779pp 「ハンナ型間質性膀胱炎」の難病指定されたご婦人が、栃木県からはるばるお越しになりました。
6年前に間質性膀胱炎と診断され、これまでに5回も「膀胱水圧拡張術」を受けたのです。当然として治らないので、インターネットで当院を見つけて来院されたのです。

症状は、毎日10回の頻尿と夜3回の夜間頻尿です。そして陰部の痛み、特に尿道口が痛いのです。

 初診時にエコー検査わや行いました。膀胱三角部は盛り上がっています。膀胱出口付近の粘膜は硬化があり、膀胱縦走筋の先端が2つに大きく裂けています。膀胱括約筋も目立ちます。

これらの所見は全て排尿機能障害の後遺症の所見です。にも関わらず、膀胱水圧拡張手術で膀胱を5回も無理やり膨らませただけですから、治る訳がありません。

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  2枚目の写真は、慢性前立腺炎の患者さんのエコー所見です。男性の場合は、前立腺が存在しているので、膀胱出口が膀胱側に盛り上がっています。

 でも、このご婦人患者さんのエコー所見は、まるでこの男性の所見と同じにように前立腺が存在するが如く見えますよね?つまり、排尿障害障害があると、膀胱縦走筋と膀胱粘膜の距離が次第に開き、さらに膀胱括約筋が肥大し、遂には膀胱三角部が肥大して厚くなるのです。ですから、慢性前立腺炎の男性患者さんのエコー所見と、間質性膀胱炎の女性患者さんとのエコー所見が似てしまうのです。

 膀胱出口がこんな状態の膀胱に、水圧拡張手術で病気が治ると思えますか?つまり、間質性膀胱炎は原因不明の膀胱自体の病気ではなく、排尿機能障害による膀胱の過敏さ=頻尿+痛みなのです。

 それなのに、疲れて過敏になった膀胱を物理的に無理やり膨らませる治療に、どう考えても効果が出る訳がありません。その膀胱水圧拡張手術を日本全国の大学病院や有名病院で実施しているのです。医師としては、本当に情けない!

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 さらに膀胱三角部を拡大して90度に回転させて見ると、何に見えますか?宇宙人あるいはゾンビに見えませんか?

 

Oni3  長期間かけて排尿機能障害で膀胱三角部が、こんなに4も変形しているのです。このような変形の原因である排尿機能障害を治さなければ治る訳がありません。私独自の考え方ですが、いろいろな検査で獣やお化けや怪獣が見えたら、彼らが自己主張してるために症状がドンドン悪化するのだと、私は思っています。

 

 

間質性膀胱炎の粘膜所見の理由

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1bdb1e8606cd4e2ab0f4fc0ab3666958  私の考えでは、間質性膀胱炎の原因が排尿機能障害が原因だと考えています。では、間質性膀胱炎の特徴的所見である、膀胱粘膜に毛細血管の蛇行と点状出血とハンナ型粘膜潰瘍が出来るのでしょうか?

 排尿障害があると、膀胱は少ない尿量でオシッコを出そうとします。なぜなら尿量が多いと、対応して大きく開く筈の膀胱出口が十分に開かなで、圧力をかけると膀胱内圧が高くなるのです。膀胱は尿が溜まらないように頻尿になるのです。それが長期間継続すると、膀胱は次第に小さく萎縮するのです。つまり膀胱壁の縦走筋と輪状筋も伸び縮みが低下します。萎縮によって粘膜の収縮と伸展の許容範囲も狭くなります。当然、膀胱粘膜に血液を供給する毛細血管も次第に短くなるのです。(写真は間質性膀胱炎ガイドラインのハンナ型潰瘍)

129ac98404e7409593dc70e1a9e1b2ff  このような状態が継続すると、粘膜と毛細血管とのバランスが崩れて来ます。結果、粘膜の一部が粗血状態になり、粘膜が壊死を起こします。それが「ハンナ型潰瘍」なのです。また、膀胱水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませると、伸び縮みの少ない毛細血管が切れてしまい、「点状出血」になるのです。(2枚目の写真は点状出血)

B85dbfec4b1b410181a43d22a28eef29  膀胱水圧拡張術により膀胱を無理やり膨らませるので、縮んでいた膀胱壁の筋肉(縦走筋・輪状筋)も切れて損傷します。損傷部分は生体反応で線維化が起こり、さらに伸び縮みが悪化します。ですから、膀胱水圧拡張術を行えば行うほど、膀胱は萎縮して小さくなります。(3枚目の写真は、前立腺肥大症の手術の際に認められた点状出血です。間質性膀胱炎の症状はありません。)

Ich_20200806094801  ではなぜ点状出血やハンナー型潰瘍が出来るのかイラスト描いて考えてみましょう。

膀胱の粘膜は移行上皮と言う細胞で作られています。、膀胱が収縮している場合は、3層の厚い層になっているのです。しかも細胞が縦に並んでいるのです。しかし、膀胱に尿が溜まると膀胱は拡張します。もしも収縮してる時も1層だけであれば、膀胱粘膜は当然裂けてしまいます。そこで拡張した際には、いくつもの層が、それぞれが横に伸びて次第に薄くなるのです。ですから膀胱粘膜が避けることはないのです。

 

Ich2_20200806094801  ところが、排尿機能障害があり、膀胱三角部が過敏になると、尿が溜まることが少なくなり、膀胱が拡張しなくなるのです。寝たきりのご老人の足の筋肉が萎縮して歩けなくなるのと同じです。ひどい人だと、100㎖も溜められなくしまいます。すると、膀胱の筋肉である縦走筋・輪状筋が萎縮して、筋肉が十分に伸びたり縮んだりできなくなります。当然、筋肉が伸びなくなると、膀胱粘膜にも萎縮が起こり、線維化する膀胱粘膜細胞が生まれます。

 繊維化した細胞の周囲の細胞に癒着してしまいます。その際に、膀胱水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませると、それぞれの細胞に血液を供給していた毛細血管が切れてしまいます。それが点状出血になるのです。医師が尿を我慢しなさいと命令すればするほど、点状出血は増えていきます。さらに血管が切れて血液供給されない粘膜細胞は壊死を起こします。それが増えて、ハンナー型潰瘍と診断されるのです。

 私程度の街中の無名の一開業医ですら、こうやっていろいろ考えるのですから、有名な先生たちも、もっと考えて、原因不明の病気とするな!

 

排尿機能障害の具体的理由

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Sphinc1膀胱出口が開くためには、尿道括約筋が開きながら引っ張ると、収縮している膀胱出口が開くのです。膀胱出口は、常に膀胱括約筋で閉じられているのです。一般の医師は、排尿時に膀胱括約筋が自らの力で開いていると思っているのです。

そして排尿障害のある人は、膀胱括約筋が緩まないからだと思い込んでいるのです。初めのイラストは正常の排尿の表示です。

左が蓄尿時を表現しています。膀胱括約筋と尿道括約筋のつながりの位置に注目してください。❶排尿時には、骨格筋である尿道括約筋が下に向きに開きながら引っ張ります。❷膀胱括約筋が閉じていても、尿道括約筋に負けて膀胱括約筋が引っ張られ、膀胱出口は開きます。❸さらに腹圧でオシッコが出るのです。

Sphinc2_20200810104301 次のイラストは、排尿障害の人の解説です。蓄尿時の膀胱括約筋と尿道括約筋の連結線(点線)をご覧ください。膀胱括約筋の外側につながっていて、尿道括約筋の外側に付着しています。

❶この状態で尿道括約筋が下に向きながら開くと、❷どう考えても膀胱出口は閉じるでしょう。❸その状態で腹圧をかけてオシッコをすると、出口が狭くなっていますから、ジェット流になって、オシッコは散るのです。そして膀胱内圧は上昇するので、膀胱粘膜や膀胱壁の筋肉(縦走筋・輪状筋)に負担がかかり、点状出血・ハンナー型潰瘍→間質性膀胱炎、肉柱形成→神経因性膀胱、膀胱憩室→先天性と誤診されるのです。そして膀胱括約筋に物理的負担がかかるので、生体反応が起きて、膀胱括約筋が次第に肥大してしまい、膀胱出口がますます狭くなり、さらに排尿障害が強くなってしまうのです。

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 3枚目のイラストは、膀胱括約筋と尿道括約筋を機械に見立てたものです。正常の場合は、膀胱括約筋(緑)と尿道括約筋(赤)が連結しています。尿道括約筋が外側に移動すると、膀胱括約筋は下向きに移動します。すると出口は開きます。

 排尿障害になりやすい人は、連結線が膀胱括約筋の外側に付着して、尿道括約筋にも外側に付着すれば、尿道括約筋が外側に移動すれば、膀胱括約筋は上向きになります。すると出口も上向きになりますが、膀胱内圧で負担がかかり出口は閉じてしまうのです。

 この膀胱括約筋と尿道括約筋の連結具合が人によって様々なので、排尿機能も様々なのです。手術で、この連結を修正することはできません。治療としては、膀胱括約筋の緊張をゆるめて、上向きにならないようにするのです。それがα1ブロッカーのユリーフ・ハルナールです。手術としては、出口の部分を切除すれば、膀胱括約筋が上向きになっても出口が閉じないのですから、出が良くなるのです。

Sphinc5 実際に1本の連結線が存在する訳ではありません。膀胱括約筋と尿道括約筋は何十本もの平滑筋線維と連結しているのです。しかし、その平滑筋線維の緊張度が均一でなければ、この連結線のお話しのような現象が起こるのです。そしてα1ブロッカーは全ての平滑筋の緊張を緩めるので、膀胱括約筋の平滑筋も連結線の平滑筋も緩めるので、私が解説した現象が低下して、排尿障害が改善するのです。

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 ご覧いただいて想像出来るように、この現象は前立腺とは無関係です。排尿障害が原因で膀胱括約筋が肥大して、それが原因で腹圧をかけると前立腺に負担がかかり、前立腺が大きくなるのです。この現象は男女問わないことになります。神経因性膀胱も排尿機能障害も具体的な概念のないウソの診断名になります。ですから、全ての排尿障害には、α1ブロッカーが必須です。

過活動膀胱の治療薬

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 過活動膀胱の治療薬である頻尿治療薬である、抗コリン剤(トビエース・ベシケア)とβ3作動薬(べオーバ・ベタニス)があります。一般の医師は、単なる頻尿治療薬としか思わないで、処方しているだけです。

 抗コリン剤の作用するムスカリン受容体と、β3作動薬の作用するβ3受容体は、膀胱に均一に分布している訳ではなく、また人によって同じではありません。ですから、この事を常に想像して患者さんに工夫して処方をするべきです。

 しかしながら、それぞれの受容体(ムスカリン受容体・β3受容体)の分布が人によって違うという事は、実証はされてはいません。ムスカリン受容体もβ3受容体も膀胱全体にあると思われていますが、臨床経験上、そうではないと私は考えています。ムスクあリン受容体おはほぼ全域に存在し、β3受容体は膀胱三角部を中心に存在すると考えています。そこで、私が40年以上も患者さんと接すると、思い付いてだんだんと予想できることがあるのです。

Juyotaim_20200903102201❶イラストのように、🅰️ムスカリン受容体は膀胱のほぼ全体に分布する人と、🅱️膀胱の体部だけに分布する人に分かれます。
🅰️の患者さんに抗コリン剤を服用すると、膀胱全体と出口の平滑筋の緊張が緩むので、腹圧をかけると、尿がスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんが抗コリン剤を服用すると、膀胱大部だけが緩むのですが、膀胱出口は緩まないので、腹圧をかけると、相対的に膀胱出口が収縮してしまうので、オシッコが出にくくなったり、尿閉になる人が出て来ます。

Juyotaib_20200903102201❷β3受容体が🅰️膀胱三角部周囲から出口まで分布する人と、🅱️膀胱出口には分布しない人がいます。
🅰️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱出口周辺が緩むので、腹圧がかかるとオシッコはスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱三角部だけが緩んで膀胱出口が緩まないので腹圧をかけると膀胱出口が閉じてしまい、尿が出にくかったり、尿閉になることがあります。

以上のパターンの組み合わせ、❶🅰️🅱️と❷🅰️🅱️との組み合わせで、2✖️2=4タイプの人が存在します。最近では、抗コリン剤とβ3作動薬の併用で、頻尿を抑える効果が期待されていますが、必ずしも上手くいくとは限りません。特に【❶🅱️+❷🅱️】タイプの人は頻尿が減るかも知れませんが、オシッコの出が悪くなる可能性が高くなるのです。


ボトックス

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B29900de8bbc458ba6e429b07987a145  2007年にボトックス注射の資格を取りました。資格がないとボトックスを購入出来なかったからです。当時は美容整形のシワ取りのための注射でした。それを膀胱や前立腺の治療として利用しました。しかし、ボトックスが高額(10万円)だし、効果が50%だったので、その後は止めました。

 原因不明である過活動膀胱の尿失禁と神経因性膀胱の尿失禁の治療として、ボトックス治療が保険の適応になりました。でも再び行うつもりがなかったのですが、ボトックスの製薬会社のスタッフから、ボトックスの泌尿器科の資格を取って欲しいと積極的に頼まれてしまいました。(笑)

ボトックスは食中毒の原因であるボツリヌス菌の毒素です。この毒素は、神経伝達に必要なアセチルコリンをブロックしてしまいます。その結果、神経コントロールが出来なくなり、筋肉が緊張出来なくなり、麻痺して緩んでしまうのです。このボトックスを膀胱壁の排尿筋の縦走筋・輪状筋に射てば、麻痺して膀胱が収縮できなくなります。さらに、尿意センサーである部分に射てば、尿意の情報が伝達出来なくなるのです。

 そこで、資格を取得するために、現在Webの講演会で勉強しいます。講演内容は私から言えば、私の考えとは多少異なりますが、私が適格に処置できるので、問題ありません。講演内容では、ボトックス注射を膀胱全体に20箇所に射ち、あるいは神経因性膀胱には30箇所に射つとされていました。一般の医師たちは、尿失禁が膀胱の身勝手な収縮で尿失禁すると思っているのです。また尿意感覚が膀胱全体にあるのだと思い込んでいるのです。ですから、過活動膀胱の尿失禁の患者さんは、膀胱全体の粘膜の知覚過敏と、膀胱排尿筋の身勝手な収縮と誤解しているのです。

 膀胱の知覚は、実は膀胱三角部の平滑筋だけなのです。膀胱三角部は膀胱に存在しますが、実は尿管の平滑筋の一部なのです。ですから尿管の感覚なのです。その実例として、尿管結石の患者さんが、尿管の出口付近に落下すると、尿が溜まっていなくても、尿意・頻尿・残尿感になるのです。そして結石が膀胱に落下すると、尿意はなくなるのです。また、立っていたり走ると尿意が強く感じる患者さんが、横になると尿意が無くなります。その理由は、膀胱三角部の位置が膀胱の一番下にあるので、立位・走行時に尿の重さが一番かかるので膀胱全体に尿意が感じ、横になると、重さが分散するので尿意が無くなるのです。

Sphinc9_20200815164901  ですから、ボトックスは膀胱三角部を中心に注射しなければなりません。膀胱粘膜で膀胱三角部が一番厚いので、注射は注意せずに出来ます。膀胱粘膜の他の部分は薄いのです。同じようにボトックスを注射すると、膀胱壁内の膀胱輪状筋と膀胱縦走筋に必ず注射されてしまうので、膀胱が収縮が難しくなります。過活動膀胱も神経因性膀胱も膀胱出口が十分に開かないことが原因なのです。当然ですが、残尿が残るでしょう。

 膀胱全体20か所に注射をしましょうと言う考え方は、過活動膀胱で頻尿の患者さんは、膀胱壁の排尿筋(縦走筋・輪状筋)が収縮傾向にあり膀胱容量が狭くなっているから頻尿になるのだと思い込んでいるのでしょう。そのために膀胱壁の排尿筋をボトックス注射でゆるめるので膀胱容量が広がり、膀胱内圧が低くなり頻尿が改善すると誤解しているのです。ある意味で、間質性膀胱炎の治療である膀胱水圧拡張術を行っているのと同じです。

 そのため膀胱出口の緊張を緩めるために、膀胱出口付近をボスミン注射すると、出口が開きやすくなります。その結果、過活動膀胱・神経因性膀胱も本質的に改善します。膀胱出口が開かない理由を前回解説しました。膀胱括約筋と尿道括約筋とを連結している平滑筋線維がアンバランスになって、理想的に開かないからです。治療として、今まではα1ブロッカー(ユリーフ・シロドシン・ハルナール・タムスロシン)を服用すれば、膀胱括約筋と平滑筋線維の緊張がゆるみ、膀胱出口が開きやすくなるのです。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2020/08/post-2557fb.html


 しかしながら、薬剤でも症状が改善しない患者さんが存在します。オシッコが出にくい、頻尿や痛みが取れない等の症状が続くのです。その理由は、病気が長期間だった為に、❶膀胱括約筋が過剰に肥大、❷周囲が繊維化して硬くなった、❸周囲に知覚センサーができ上がった、❹脊髄神経回路が増強した等です。そのためには、内視鏡手術で膀胱出口付近を切除して、物理学的改善と、知覚センサーを排除すれば良いのです。

 でも手術をされたくないヒトも存在しますし、かなりのご高齢であれば、手術のリスクもあるので私も手術したくありません。そこで、ボスミン注射の誕生で治療が可能かもしれません。排尿のメカニズムを熟知すれば、注射の部位が容易に理解できるでしょう。このイラストが、注射部位を示しています。❶頻尿の知覚センサーは膀胱三角部が主体ですから、膀胱内では膀胱三角部だけに注射します。❷病気の本質は排尿障害ですから、肥大した膀胱括約筋に注射します。❸痛みセンサーは私の経験上、膀胱出口の周囲に存在しますから、膀胱括約筋の注射で軽快します。

944e3648e20e483796ba8e984896bcfc  2007年頃の私は、過活動膀胱の症状の基本は、膀胱三角部の過敏さだけだと思っていましたから、膀胱三角部だけにしかボトックスを注射していませんでした。排尿障害が基本ですから、膀胱括約筋にも注射する必要があったのです。さらに、知覚センサーが膀胱三角部だけではなく、膀胱出口周辺にもあることを体験したので、膀胱出口にも注射の必要があるのだと、今の私は思っています。

保険点数は、9,680点(96,800円、3割負担で28,040円、1割負担で9,680円)です。この金額の中に、7万円のボトックス費用が入っています。それ以外に自費の手術用のコートシートが五千円です。

 

 

 

 

膀胱出口の欠点

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Bladrect_2 膀胱と直腸は、一卵性双生児なのです。胎児4週目に総排泄腔の中央にくびれが生じて、胎児6週目にはドンドンくびれが深くなります。そして胎児7週目に、膀胱が前に、直腸が後ろに完成するのです。


75d150fa02b74e0597a96cb801ffabab 同じ臓器な のにも関わらず、膀胱出口と直腸出口(肛門)が不思議なことに構造的に異なります。その理由は貯めて出す排泄する物が異なるからです。
膀胱出口と肛門の構造を比較すれば理解できます。直腸は大便の塊りを出さねければなりません。そのために肛門は大きく開かなければなりません。そのために、内肛門括約筋と外肛門括約筋が同じ高さの平面状になります。内側の肛門括約筋は常に収縮しているので、随意筋の骨格筋である外側の肛門括約筋が開いてくれると、不随意筋の内肛門括約筋は負けてしまい開いてしまいます。

Bladderactive_20201114101801 ところが、膀胱には、大便と違って液体である尿を溜めなければなりません。ですから肛門と同じ構造では、液体の尿が漏れてしまいます。そこで、液体が漏れ出ないように、内括約筋(内尿道括約筋=膀胱括約筋)と外括約筋(外尿道括約筋)の位置を上下にずらしたのです。肛門のように外括約筋が開くと、内括約筋は容易に開いてしまいます。ところが膀胱出口の場合は、内括約筋と外括約筋が同じ平面に位置していませんから、外括約筋が開いても容易に内括約筋が開く訳がありません。間接的に開いているだけです。

 この状態で長期間・何回も何回も排尿すれば、内括約筋が外括約筋に負けないように、次第に肥大して排尿障害が出現するのは当然です。江戸時代のように平均寿命が50年もなかった頃であれば、排尿障害で悩む人はいなかったでしょう。しかし、現在の日本のように平均寿命が80年も超えるのであれば、8割の人が排尿障害になるのです。その証拠に、80代の男性の8割が前立腺肥大症になるのです。何故かと言えば、前立腺肥大症の原因は、実は排尿障害なのです。

排尿障害があると、スムーズに尿は出ません。出が悪いと腹圧をかけて排尿します。でも、膀胱出口がそのままで十分に開かないのです。当然、膀胱の圧力が前立腺に負荷がかかります。腹圧の負荷に負けない様に、生体反応として前立腺が大きく硬くなるのです。それが前立腺肥大症の原因です。

 女性の場合、中高年齢の34.5%の人びとが腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁になるのです。その理由は、膀胱出口が十分に開かないと、無意識に腹圧をかけて排尿します。前立腺はないので、問題ないと思いますよね?しかしながら、何十年もかけて、排尿のたびに腹圧をかけると、膀胱が骨盤の正常の位置から下に移動します。同時に尿道括約筋の位置も下に移動するのです。排尿が出にくい位置の膀胱出口は下がると、膀胱出口が開きやすくなるのです。また、尿道括約筋も下に移動すると、尿道括約筋が閉じなくなるのです。結果として、咳やクシャミなどで腹圧性尿失禁になるのです。

以上に事から分かるように、人間は年齢を重ねれば重ねるほど、排尿障害になるのです。それが膀胱出口の欠点なのです。高齢者が多くなった日本では、それまで地味だった泌尿器科が、繁盛するのは当然です(笑)☺️。男性の場合は前立腺肥大症・PSA高値・慢性前立腺炎・神経因性膀胱、女性の場合は過活動膀胱・間質性膀胱炎・腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁が増えてしまったのです。

 

 

 

間質性膀胱炎の原因

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Dysuri10

 間質性膀胱炎と診断されて、膀胱水圧拡張術を何回受けても治らんない患者さんが多く来られます。日本間質性膀胱炎研究会が指導する正式な治療である「膀胱水圧拡張術」を受けても、逆に症状が悪化するののです。

 間質性膀胱炎は原因が不明とされています。不明の免疫疾患とも考えられているのです。中には、難病指定までされた、「ハンナ型間質性膀胱炎」まであります。

 実は、患者さんが自覚しない排尿障害が原因なのです。しかし、医師は患者さんが排尿障害を訴えないので、排尿障害について調べもせずに、膀胱水圧拡張術だけにこだわるのです。

Dysuria12 例えば、頻尿症状の患者さんに対して、2枚目のイラストのように考えて診断するのです。尿検査で白血球・細菌が認められれば、単純に膀胱炎(急性膀胱炎・慢性膀胱炎)と診断し、尿失禁があれば過活動膀胱、内視鏡検査で膀胱粘膜に点状出血・ハンナ型潰瘍があれば間質性膀胱炎と診断するのです。ところが、いろいろな治療しても治らないと、「気のせい・歳のせい・治らないと病気」とまで診断されるのです。

 全て排尿障害が原因ですから、抗生剤・過活動膀胱治療薬・免疫治療薬・水圧拡張術を行なっても治る訳がないのです。排尿障害の治療薬であるα1-ブロッカー(ユリーフ・ハルナール・フリバス)を中心に治療すれば症状は軽快するのです。

 膀胱水圧拡張術を行った間質性膀胱炎の患者さんを排尿障害を中心に治療すると、症状は明らかに改善するのです。

排尿障害が原因で膀胱出口周囲の膀胱括約筋が肥大して、排尿障害がさらに悪化するのです。すると、排尿の度に、尿意センサーである膀胱三角部に物理的負担がかかり、膀胱三角部が過敏になるのです。それが原因で頻尿になり、さらに脊髄神経回路で脚色されて、痛み・不快感になってしまうのです。

間質性膀胱炎の対処法

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遠方で当院に来院できない方への助言です。

以前から間質性膀胱炎の原因について、私のブログで詳細に解説しています。その原因が次の通りです。
❶排尿の膀胱出口にある膀胱括約筋と、尿道括約筋のバランスが乱れる。
❷膀胱括約筋が十分に開かないで排尿するので、腹圧の物理的負荷が膀胱括約筋にかかる。
❸何十年と毎日繰り返されると、当然の生体反応として、膀胱括約筋が肥大する。
❹膀胱括約筋が肥大すれば、膀胱出口は尚一層と開き難くなる。
❺排尿時に膀胱内圧が上昇する。
❻膀胱内圧の上昇=尿がパンパンに溜まった=尿意切迫感→頻尿=過活動膀胱になる。
❼膀胱内圧の上昇→膀胱三角部に負荷→尿意+痛み→間質性膀胱炎になる。

以上の事から分かるように、排尿障害が間質性膀胱炎の根本原因なのです。しかしながら、一般の泌尿器科医は原因不明の炎症と思っているので、排尿障害の治療薬を処方してくれません。そこで、地元の医師に次のようなウソを言ってください。
「オシッコが出にくいのです。」「過去に神経因性膀胱と診断されました。」

このように告げれば、排尿障害の治療薬であるα1-ブロッカーであるエブランチルと、β3作動薬であるベタニス・べオーバを処方してもらえるでしょう。

 

 

間質性膀胱炎の真実

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間質性膀胱炎は原因不明で難病指定にもなっています。原因不明は実は間違いです。

間質性膀胱炎の原因は、患者さんが自覚しない軽度の排尿障害が原因なのです。患者さんが自覚しないから、医師も調べないで原因不明も間質性膀胱炎と診断するのです。

9e3a89b714fb48699af37528a9de76e8 エコー検査でで膀胱出口を観察すると、長期間の排尿障害の後遺症による変形が認められます。
❶膀胱三角部の肥厚
❷膀胱排尿筋も変形
❸膀胱括約筋の肥大
❹膀胱出口粘膜の硬化像
❺膀胱出口周囲の静脈瘤

2枚の写真は、間質性膀胱炎と診断され、治らないで悩まれたご婦人のエコー所見です。

Bc9d71d685114a3cb18f7cf22c20e28d画像診断だけの⑴以上の所見が一つでもあれば、長期間の排尿障害が認められるのです。ですから、積極的に排尿障害の治療をすべきです。
α1-ブロッカーである①ユリーフ・シロドシン②ハルナール・タムスロシン③フリバス④エブランチルのどれかを処方します。

⑵様々の関連症状である頻尿・尿意切迫感・尿失禁・痛み・激痛・痒み・痺れなどいろいろあります。その症状は膀胱三角部の感覚なのです。正常であれば、単なる尿意・頻尿です。ですから頻尿の治療薬であるβ3作動薬である①ベタニス②ベオーバを処方します。

地元の医師は、泌尿器科学会の発行している「ガイドライン」しか信じません。この考え方を教えても、患者さんを集めるため、金儲けのためだと、否定されます。……ゴメンなさい。エコー検査をしても写真の1/10の一般的な画像を見て、『異常無し』と思うのです。大学病院では、泌尿器科医ではない画像診断だけのエコー専門の医師が見ているだけですから、やはり異常無しと思うのです。

 過活動膀胱、膀胱疼痛症、鬱血性骨盤疼痛症候群、神経因性膀胱、慢性前立腺炎の全てが、同じ原因です。

間質性膀胱炎のエコー所見

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Ice1間質性膀胱炎のご婦人患者さんが全国から大勢来院されます。その患者さん達は、内視鏡検査のみに異常が認められ、その他の検査では異常なしと言われます。その結果、原因不明の間質性膀胱炎と診断されるのです。

私は間質性膀胱炎の原因がすべて超音波エコー検査で確定できます。初めのイアスとが正常のエコー所見です。膀胱出口が閉じています。膀胱排尿筋が膀胱出口に向かっています。

 

 

Ice2  2枚目のイラストが間質性膀胱炎の患者さんのエコー所見です。。
❶膀胱出口部分が膀胱側に突出します。
❷膀胱出口が「Vの字」に常に開いています。
❸膀胱出口が突出したので、相対的に膀胱三角部が厚くなります。
❹排尿筋の走行が乱れ厚くなります。
❺膀胱のエコー側面像では、正常では膀胱括約筋は見えません。排尿障害が増強すると、膀胱括約筋が肥大して、エコー側面像で確認できるのです。
❻尿道周囲結石、尿道周囲の静脈瘤は慢性的排尿障害の結果です。
❼膀胱三角部から膀胱出口にわたって粘膜の硬化像が認められます。

9e3a89b714fb48699af37528a9de76e8 これらの所見は、一つでもあれば、長期間にわたって排尿障害が続いた証明になります。したがって症状に左右されずに排尿障害の治療を積極的に行うべきです。性別に関係なく、排尿障害の治療薬であるユリーフ・シロドシン、ハルナール・タムスロシンを飲むべきなのです。これらのクスリは、前立腺を緩めるのではなく、男女共通の膀胱括約筋を緩めてくれるのです。

写真は間質性膀胱炎の膀胱のエコー写真です。

一般の医師は、そんな知識もないのです。私だけのおかしな考え方です。(笑)




紹介状

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泌尿器科で原因不明とされ明確な治療が出来ない難病がたくさん存在します。その例として、
❶間質性膀胱炎
❷難治性過活動膀胱
❸非細菌性慢性前立腺炎
❹神経因性膀胱
❺膀胱疼痛症
❻慢性うっ血性骨盤疼痛症候群
❼慢性尿道炎
❽陰部掻痒症
これらの病気は患者さんが自覚しない、医師が検査しても正常範囲内と診断されてきた排尿障害が原因なのです。
泌尿器科医師が行う尿流測定、残尿測定、膀胱内圧検査、細菌培養検査、エコー検査、内視鏡検査、CT検査、MRI検査でほぼ異常を認めないのです。

しかしながらエコー検査で、膀胱出口周辺を標準画像の10倍に拡大して観察すると、粘膜の硬化像、膀胱三角部の肥厚、膀胱排尿筋の変形、膀胱括約筋の肥大が認められます。これらの所見は長期間に渡る軽度な排尿障害による後遺症です。

また、患者さんによって異なる症状は、負担のかかった膀胱三角部が発する頻尿情報が脊髄神経回路を介して、痛み・しびれ・かゆみ・圧迫感などさまざまな症状(関連痛)を作っているのです。

患者さんにブログの記事の公開や解説書をお渡ししています。開業医になって32年に渡って3万8千人以上の患者さんを治療し、5千人以上の患者さんに手術を行いました。しかしながら、私は高齢者であり身体障害者1級の血液透析の不完全な人間です。最近では心臓や眼が悪くなったりして、突然死しても不思議ではありません。そこで私の考えを参考にして、多くの悩まれる患者さんを助けてください。お願い致します。

高橋クリニック 高橋知宏
東京都大田区中馬込
03 3771 8000   FAX 03 3771 8033
1979年慈恵医大卒業し泌尿器科学教室入局
1987年大学病院を退職し、救急病院に勤務
1990年に開業する。
泌尿器科専門医、外科認定医、消化器外科認定医、スポーツドクター、整体師

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遠方の患者さんで当院に一度も来院できない患者さんや、私が突然死したために治療が受けられなくなった患者さんも、ご自分の病気に関連するブログ記事を印刷して、この紹介状を持って、地元の泌尿器科医師にお願いしてください。

 

 


ウンコとオシッコの仕方

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395898481e1046a0ac6f9b9a5ce69393 ウンコの出し方は,イラストのように前屈みで実行すると出しやすくなるのです。その理由は直腸が後ろに傾いているからです。前かがみにすると、直腸と肛門が一直線になり、腹圧でウンコが肛門まで下がるのです。

Dog 四つ足動物である犬もウンコをする時に、四つん這いではなく、やはり前かがみで排便します。オス犬は片足を上げてオシッコしますが、高齢のオス犬や全てのメス犬は前かがみになってオシッコをします。

人間は普通、背筋を伸ばして座るオシッコと、男性のように立位でオシッコするのが常識です。しかしながら、Bla1 イラストで示したように、膀胱の真下に膀胱出口が存在しません。中心から45°の方向にずれているのです。ほぼ中心線上にあるのは、尿意を感じる膀胱三角部です。尿の重さ・重力は膀胱三角部に当たるのです。この状態で圧力をかけると、膀胱三角部に当たってから間接的に膀胱出口に流れて行くのです。この状態で何十年もけいかすると、過活動膀胱、間質性膀胱炎、慢性前立腺炎、神経因性膀胱、前立腺肥大症になるのです。

今度は前方に45°傾くと、膀胱出口は重力の直下になります。当然オシッコが出やすくなります。メス犬と同じ姿勢で男女共にオシツコをすれば、様々な病気にはならないのです(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

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間質性膀胱炎の本質

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一般のの医師は、間質性膀胱炎は原因不明の膀胱の筋肉と粘膜の原因不明の炎症と思われるのです。

❶ところが本当は誤解です。これらの患者さんは小さい子供の頃から頻尿がありました。一般の医師は生まれながら、その人の体質だと思われるのです。だから間質性膀胱炎になっても無関係と思われるのです。結局、原因不明の炎症間質性膀胱炎と思われるのです。

❷実は頻尿は排尿障害が原因で子供の頃から頻尿になったのです。大昔は人間の寿命は50才以下だったので間質性膀胱炎にならなかつたのです。

❸ところが皆んな長生きになりました。そのため排尿障害が長く続いて膀胱に負担がかかり、 頻尿ではなく、痛みが出て原因不明の間質性膀胱炎と診断するのです。

❹ですから膀胱の水圧拡張手術を行なっても治る訳がありません。治療の本質は排尿障害の治療です。水圧拡張で膀胱に負担がかかるだけです。女性に処方できるのはイソフラボンしかありません。本当は男性の前立腺肥大症の排尿障害の治療薬であるハルナール、ユリーフ、フリバスが効果適面です。

❺しかしながらご婦人には保険では処方できません。そこで自費で購入するか、父親やご主人の保険証で処方してもらうしかありません。(笑)

❻間質性膀胱炎は原因不明の病気ではありません。本人が気がつかない排尿障害を積極的に治療しましょう。絶対に治ります。

❼日本全国から間質性膀胱炎の患者さんが膀胱水圧拡張手術を行ない、治らないのでインターネットで私の書いたブログを読み、北海道、九州、沖縄など日本全国から来院して治すのです。みなさん治って大喜びです。

❽また膀胱水圧拡張手術を行なっても、半年から8ヵ月症状が低下するだけで、またまた症状が出るのです。そのため、この治療は膀胱に負担をかけるだけです。



間質性膀胱炎、難病の指定さる

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大学病院や国立病院なとで間質性膀胱炎と診断されて、膀胱水圧拡張術や内視鏡手術を行なっても治らないので、難病指定にされますに

❶  原因は本人が自覚しない排尿障害が原因です。排尿障害のために膀胱に負担がかかり、痛み、頻尿、さまざまな症状が作られるのです。

❷ 膀胱の負担が、膀胱粘膜に障害や膀胱縮小、出血などを作るのです。内視鏡で膀胱を観察しても分からないのです。

❸ 治療は慢性前立腺炎の男性と同じ排尿障害物治療薬と、膀胱過敏さを低下させるお薬飲めば治ります。😂🤣😸

慢性膀胱炎や間質性膀胱炎の本当の原因

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Image_20230108152001 ❶慢性膀胱三角部や間質性膀胱炎は、本当は膀胱が原因を作った訳ではありません。ですから、膀胱の治療だけを行なっても永遠に症状はなおりません。

Image_20230108152801 ❷膀胱に症状を作らせたのは、膀胱出口の膀胱括約筋の肥大です。膀胱括約筋が肥大すると、排尿障害になり、膀胱全体や膀胱三角部に負担がかかり症状がつくられるのです。

❸排尿障害の治療薬と膀胱の過活動膀胱のクスリてわ症状は軽快します。

難病とされる間質性膀胱炎

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 Image_20230219151801 尿検査で異常はなく、膀胱疼痛や排尿痛や、時々の血尿や頻尿があるため、原因不明の間質性膀胱炎という難病と診断されてしまいます。一般の医師は、膀胱ガンとバイ菌が原因の膀胱炎しか知らないのです。

膀胱水圧拡張術や内視鏡手術をされても、治らないご婦人がほとんどです。

Image_20230219152301 このイラストのように正常の人は、膀胱出口の膀胱括約筋が小さくて膀胱三角部も正常です。間質性膀胱炎の人は膀胱括約筋が肥大して排尿障害が出来てしまい、そのため膀胱三角部が肥厚して膀胱が過敏になり、頻尿や痛みになるのです。

Image_20230219152801 Image_20230219153201

初めのイラストは間質性膀胱炎とされたご婦人の膀胱出口の側面図です。2番目のイラストは、正常のご婦人の膀胱出口です。

見て分かるように、排尿筋肉が肥大して変形して、膀胱括約筋が肥大して、静脈瘤や石灰が確認できます。また膀胱出口が盛り上がり出口の表面が硬化しています。

この所見は内視鏡検査を見ても分かりません。内視鏡検査を行なっている医師は、このイラストの所見が分からないのです。そして膀胱粘膜の表面しか見えないのです。

したがって一般の医師は、膀胱全体の壁、粘膜は、膀胱体質の異常だと思うのです。ですから、膀胱を膨らませたり、内視鏡で膀胱の壁を削ったりして治るわけがないのです。

ですから、私独自の排尿障害の治療薬と過活動膀胱の薬を飲めば治ります。😂🤣😸

 間質性膀胱炎の本当の真実❤️

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間質性膀胱炎の症状は、頻尿、夜間頻尿、尿意亢進、膀胱疼痛、膀胱不快感、残尿感などです。

しかし、尿検査をしても正常などて、原因不明の膀胱の病気とされ、原因が分からないので、「難病」とされて、政府に登録されてしまいます。治療としては、膀胱にたくさんの水を入れる膀胱水圧拡張術や膀胱鏡で膀胱粘膜を手術になりますが、何回も行なっても治りません。薬は抗生剤、痛み止め、過活動膀胱薬ですが、治りません。

Image_20230323144001 本当の原因は膀胱が原因の病気ではなく、排尿障害が膀胱に負担がかかり、膀胱に症状が出る病気です。イラストのように膀胱出口周囲の膀胱括約筋が肥大して、尿が出にくいために膀胱に負担がかかり、膀胱が縮小して過敏になり、頻尿、残尿感、痛み、不快感になるのです。

Image_20230323145001 

このイラストはエコー検査の側面所見の拡大図です。膀胱出口が膀胱側に凸突出し、粘膜が硬化し、排尿筋が肥大変形しています。一番重要なのは、膀胱括約筋の肥大です。これを膀胱鏡検査を行なっても確認できないのです。

Image_20230323145801 

正常の人のエコー検査所見のイラストです。膀胱出口は平らで排尿筋は膀胱出口に向かっているだけです。さらには、膀胱括約筋が見えていません。つまり肥大していないのです。

【治療】としては、膀胱の収縮を強めるエブランチル、膀胱の症状を低下させるベタニス、ベオーバです。また膀胱括約筋を緩めるクスリは、男性の前立腺肥大症のザルテイアしかないのです。そこでご主人やお父上に保険で処方してもらいます。それが出来なければ、ザルテイアのジェネリックの安価なクスリを自費で購入します。😂

慢性膀胱炎のご婦人方へ

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Image_20230322093301 ご婦人で毎月も膀胱炎になる人がいます。泌尿器科を受診して検査をいろいろおこないあ、慢性膀胱炎と診断されます。でも繰り返します。何故に繰り返すのか医師も分からないのです。

Image_20230322094201 しかし、その原因はバイ菌による感染症ではないのです。実は若い時から水分を多く摂取するからです。

水分は、お水、コーヒー、紅茶、ジュース、牛乳、ビール、お酒などです。それを毎日たくさん2リットル以上飲んでいると、人体に多くの尿オシッコが腎臓で産生されて、膀胱出口に負担が掛かります。

その状態が10年以上経過すると、膀胱出口の左右にある膀胱括約筋が肥大して、膀胱に負担がかかります。

すると、膀胱は縮小して膀胱の壁が肥厚して粘膜の血管が増えて、膀胱の感覚を作る膀胱三角部が過敏になって膀胱炎症状が作られて、慢性膀胱炎になってしまいます。

対策として、排尿障害の治療薬であるエブランチル、膀胱を鈍感にするベタニス、ベオーバを処方すれば改善します。






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